「南シナ海問題の助けに」 RAA上院承認で国軍
比国軍「RAAが締結されれば南シナ海問題への対応力も高まる」
フィリピンと日本との訪問部隊間協力円滑化協定(RAA)が比上院で承認されたことを受け、比国軍のフランセル・パディリャ報道官は17日、RAAが比の領土防衛に与える影響について、「進んだ防衛技術を有する自衛隊との協力強化と技術移転を通じ、海洋状況把握(MDA)能力が強化されるだろう」と期待を表明した。さらに、比日の防衛協力が「特に西フィリピン海(南シナ海で比が権益を有する海域)など重要なエリアでの安全保障上の課題への対応への助けとなる」との見解を示した。
海軍南シナ海問題担当報道官のロイビンセント・トリニダッド少将は「海軍は日本とのRAA承認を歓迎する」とし、「わが軍が対外防衛を進めるなか、RAAは比海軍と海上自衛隊のより緊密な協力、連携が可能となる」との見通しを示した。
比に先立ち豪州・英国と締結されたRAAでは、訪問部隊の法的地位が定められているほか、公務中の死亡や負傷についての請求権の放棄、軍事施設へのアクセス供与努力義務などが定められている。今年は、主に領海外で航行や訓練を行う「海上共同活動(MCA)」の形で海上自衛隊・比海軍との協力が進んだが、日本の国会承認を通じてRAAが締結されれば、実弾演習や陸海空総合演習への本格参加への道が開かれる。
4月の比日米首脳会議で採択された共同声明では、2025年の比米合同軍事演習「バリカタン」などに統合され得る「比日米の人道支援・災害対応訓練」を立ち上げる旨が記されている。(竹下友章)