非常事態宣言を解除 比でも公式に「コロナ明け」
大統領が21日付けの布告で公衆衛生非常事態宣言を解除。全ての防疫規則が撤廃された
大統領府は22日、2020年3月に発令され過去3年4カ月のあいだ新型コロナ防疫規制や関連施策の根拠となってきた公衆衛生非常事態宣言(2020年大統領布告922号)を解除したことを発表した。同宣言の解除を命じる大統領布告(2023年大統領布告297号)は21日付で発出され、即時発効。同宣言を根拠とする命令や通達は失効した。これに伴い保健省は22日、医療施設でのマスク着用を含めた全ての防疫規則を廃止したと宣言。運輸省も23日、昨年10月のマスク着用原則任意化後も継続していた公共交通機関内でのマスク着用義務を撤廃したと発表した。
防疫規制のもう一つの根拠となってきた新型コロナに伴う災害宣言(20年3月発令)も昨年末に期限が切れており、正式に「コロナ明け」を迎えた格好だ。
同宣言は、特例措置として食品医薬品庁(FDA)に権限が与えられていた新型コロナワクチンへの緊急使用許可(EUA)の根拠ともなっていたが、既に発行されたEUAについては例外として扱い、現在政府が保有するワクチンを使い切ることのみを目的に効力が1年間延長された。
同布告は全ての政府機関に対し、非常事態宣言が解除されたことを踏まえて既存の通達を修正し、また新しい通達を出すよう命じている。
このタイミングで制限を解除した理由について、同布告は世界保健機関(WHO)が「世界的な公衆衛生非常事態」の終了を宣言したほか、防疫規則・入国規制の撤廃・緩和後にも感染者数が減少していること、免疫疾患者など新型コロナ感染による健康リスクが高い層に対応するのに十分な能力を医療機関が有していることなどを挙げた。
英字紙スターによると、フィリピン内科学会のロンジーン・ソランテ会長は「感染者数・死者数の低下のほか、医療施設利用率が低下し、多くの国で接種率目標を達成している」と政府と同様の認識を示し、宣言解除に賛同した。一方、下院のアンヘリカナターシャ・コ保健委員会副委員長は「まだ接種を受けていない層への接種は引き続き推進すべきだ」と主張した。
保健省によると、20日時点で比のワクチン接種完了人口は政府目標の100・4%に上る7840万人。うち、2380万人が追加接種を受けた。より効果の高い2価ワクチンの接種を受けたのは、7月14日時点で4万8354人。(竹下友章)