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6月4日のまにら新聞から

「次回は日本で開催を」 初の3カ国合同訓練でPCG

[ 1339字|2023.6.4|政治 (politics) ]

初の比日米海上保安合同訓練の一環としての実務者会合で、3国は合同訓練定期開催の方針で一致。PCGは次回日本で開催することを提案

3カ国海上保安機関合同記者会見で、腕を組み写真撮影に応じる米大使館のケイラ・クミンズ麻薬・法執行課長(左)、PCGのロランド・プンザラン副長官(中央)、日本大使館の松田賢一次席公使=3日、首都圏マニラ市リサールパークホテルで竹下友章撮影

 首都圏マニラ市リサールパークホテルで3日、初の本格的な比日米海上保安機関合同訓練「カアガパイ」の一環として3カ国実務者間会合が開かれた。比沿岸警備隊(PCG)のロランド・プンザラン副長官、日本大使館の松田賢一次席公使、国際協力機構(JICA)フィリピン事務所の坂本威午所長、米国大使館のケイラ・クミンズ麻薬法執行課長、3カ国の巡視船船長らが参加した。

 合同記者会見でバリロ報道官は「会合では3カ国合同訓練を定期開催する方針で一致した。年次開催の訓練にし、次回は日本や米国をホスト国にするというアイデアを提案した」と明らかにした。日本政府はこれまで繰り返し「東シナ海・南シナ海で比日は共に力による一方的な現状変更の試みに直面している」と比側に伝え、海上協力の強化を申し合わせてきた。比側は「この合同訓練は特定の国を想定したものではない」と述べ露骨な「対中国」の位置づけを避けてきたが、一方で、日米との海上保安協力を通じた地域の海域におけるプレゼンス強化自体には極めて前向きであることが見えてきた。

 合同記者会見場にクミンズ氏、松田氏と共に姿を表したPCGのロランド・プンザラン副長官は声明を発表。「比日米の海上保安機関はインド太平洋地域における開放性、透明性、航行の自由、上空飛行の自由を促進することに極めて重要な役割を果たしている」とし、この訓練が日本の主唱してきた「自由で開かれたインド太平洋」ビジョンに向けた取り組みであることを明言。「3海保機関は比日米間の『定期的』な訓練を実施する必要性を認識した」と報告した。

 三浦淳海上保安国際協力推進官は「われわれは海洋秩序の維持が最も重要な使命だと思っている。それは1カ国だけではできない。初の3カ国合同訓練は、海洋秩序維持に大きく貢献できる」として訓練の意義を強調。比日米間の信頼の醸成と相互運用性の向上に意欲を示した。

 ▽海警局の影も

 米巡視船USCGCストラットン=127メートル、米沿岸警備隊最大船=のブライアン・クラートラー船長は「比に向かう途中で中国船に追跡されたか」との質問に「マニラ寄港前の最後の寄港地であるシンガポール周辺では、中国海警局船を含む外国船との『接触』があったが、安全に執り行なわれた」と回答。三浦国際協力推進官は「海保は海上哨戒を行っている最中であり、他国船からの追跡行為についてはコメントできない」と述べたが、そうした事案があったことを否定しなかった。

 PCGのバリロ報道官によると、今回の訓練は大量破壊兵器輸送船や海賊船への対応を想定するが、実弾は使用されない。また、今回投入されるPCG保有最大船BRPメルチョラアキノ=97メートル、日本供与=にはまだ武装が施されておらず放水銃しか装備がないことを明らかにした。一方で、44メートル級巡視船=日本供与=には比側で既に50口径(12・7ミリ)機関銃を装備させたとした。「日本政府による政府安全保障能力強化支援(OSA)を通じて大型巡視船も武装する予定はあるか」とのまにら新聞の質問に、同報道官は「97メートル巡視船の武装をする計画はある。外国からの協力やOSAの活用も含め現在検討している」と回答した。(竹下友章)

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