「ASEAN復興は日本による」 日ASEAN首脳会談
マルコス大統領は日ASEAN首脳会議に出席。コロナ禍対応、比人受け入れなどに関し日本に感謝を表明
カンボジア首都プノンペンで12日午後、第25回日本・東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が開かれた。岸田文雄首相はASEAN加盟国へのコロナ復興に総額2950億円の財政支援を行ってきたことを報告し、今後も支援を継続する意思を表明。それに対しマルコス大統領は「新型コロナASEAN対応基金とASEAN包括的復興枠組み(ACRF)が日本の多大な支援に依存している」と述べ、日本の貢献に謝意を表明した。
安全保障分野についてマルコス大統領は、日米豪印戦略対話(クアッド)による地域的安全保障へ積極的に関与する姿勢に「歓迎の意」を表明。「この地域におけるいかなる活動も、法の支配、特に1982年国連海洋法条約に順守して行われることが関係各国にとって最大の利益となる」と述べた。
中国はクアッドをアジア版NATO(北大西洋条約機構)設立の一環とみて警戒しているとされる。独立外交の名の下、中国へ親和的な姿勢を示したドゥテルテ前政権とは異なり、マルコス大統領は安保分野における「西側」回帰の姿勢を打ち出した形だ。
大統領は2021年末現在で約27万6千人いる在日比人についても言及。「在日比人は日本国民に受け入れられ、幸せに暮らし、就労場所を見つけることができた。そのことにわれわれは常に感謝している」とし「日本の比人への持てなしと保護への感謝なしに発言を終えることはできない」と述べ、謝意を表した。
日本に就労する比人については、これまで比人エンタテイナーや技能実習生の就労環境に関する非人道性が問題視されてきたが、大統領はその点に触れなかった。
災害対策分野に関しては、日・ASEANの長年の協力関係、特に日本ASEAN統合基金を通じたASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)に対する日本の支援を高く評価した。
今回の日ASEAN首脳会議では、岸田首相の提起で来年の日本とASEANの外交関係50周年を記念する日ASEAN友好協力特別首脳会議を東京で開催することが決定された。(竹下友章)