警戒管制レーダーの移転開始 初の完成装備品輸出
大使館は、日本から比への警戒管制レーダーシステムの移転が開始されたと発表
在フィリピン日本大使館は21日、比国防省と三菱電機が2020年8月に取り結んだ契約に基づき、飛来する戦闘機などを感知する警戒管制レーダーシステムの移転を開始したことを発表した。安倍内閣が2014年に、原則として武器輸出を禁止していた従来の武器輸出三原則に代わり、条件付きで武器輸出を認める防衛装備移転三原則を閣議決定して以降、初めての完成装備品の移転となる。
レーダー移転に先立ち、航空自衛隊は今月4日から比空軍職員を教育課程に受け入れ、レーダーの使い方を教育するとともに、実際のレーダーを用いた訓練を実施している。浜田靖一防衛相は3日、最初の1基の国内製造が完了したと発表。
大使館によると、比への輸出に先立ち、比空軍職員立ち会いの下、最初のレーダーの検査も実施された。
レーダー輸出契約は総額1億ドルで、固定式3基、移動式1基の合計4基が移転される。南シナ海(比名・西フィリピン海)でフィリピン政府が主張する排他的経済水域(EEZ)の上空も監視圏内に入れる予定だ。
防衛省は、2016年の比日首脳会談合意に基づき、2017年に航空自衛隊の練習機「TC―90」2機を貸与(後に不要装備品として合計5機無償譲渡)。2019年には多用途ヘリコプター「UH―1H」のスペアパーツを引き渡している。(竹下友章)