「自治区発足に向け法整備を」 BTA議会開会式で大統領
大統領がバンサモロ暫定自治政府議会で自治区発足のための法制定を呼び掛け。政府支援を約束
マルコス大統領は15日、バンサモロ・イスラム自治地域(BARMM)コタバト市シャリフカブンスナン文化複合施設で開催されたバンサモロ暫定自治政府(BTA)議会の開会式で演説を行い、25年に選挙を通じ自治区を発足させるために必要な投票関連法と税制関連法などを優先して審議するよう促した。
大統領は「BARMM住民への(自治区発足の)約束を果たすため、特に税に関する財政関連法と2025年の選挙を円滑に行うための投票関連法の制定を急いでほしい」と要請。更に、農・漁業、医療、運輸、通信、デジタルインフラ、電子政府化など住民の福祉を向上させる法案も優先的に審議するよう求めた。
また大統領は、政府23年度予算案にBARMM開発支援として744億ペソの予算が盛り込まれていると発表。BARMM和平プロセスに対する現政権の「全力かつ揺るぎない支援」を約束し、その上で「平和、公正、高潔で進歩的なバンサモロの実現」に期待を寄せた。
自治区発足のために必要なBARMM選挙法およびBARMM地方自治法は、コロナ禍などの影響で制定が遅れ、22年に予定されていた自治区発足は25年に延期。BTAのムラド・イブラヒム暫定首相=モロ・イスラム開放戦(MILF)線議長=は同法の23年までの制定を目指している。
1977年にミンダナオ南部でのイスラム国家建設を掲げ発足した後、政府に対し武力闘争をしていたMILFは、2003年にムラド氏が議長に就任して以降、和平路線を模索。11年8月4日に日本政府の仲介でノイノイ・アキノ大統領=当時=と成田空港近くのホテルで初のトップ会談を行ったのを機に和平問題が進展し、12年に比政府とMILFはミンダナオ和平に関する「枠組み合意」に署名。14年には包括和平協定に調印している。(竹下友章)