「麻薬戦争」の捜査を加速させよ ICCになすべき最善の対応
マルコス大統領は1日、ドゥテルテ前政権下で多数の死者を出した「麻薬戦争」について捜査協力を求めている国際刑事裁判所(ICC)に「再加盟する意志はない」と言明
マルコス大統領は1日、ドゥテルテ前政権下で多数の死者を出した「麻薬戦争」について捜査協力を求めている国際刑事裁判所(ICC)に「再加盟する意志はない」と言明した。マルコス氏はかねてよりICCに協力しない考えを示唆しておりそれを裏付けた格好だが、これに対し大統領府は主権の問題だとし、大統領を擁護している。
7月、ICCは政府および被害者の親族ら関係者に対し、9月8日までに捜査協力の可能性について答申するよう要請していた。
ICCは2019年、ドゥテルテ氏がダバオ市長だった11年11月から16年6月まで、そして大統領に就任してからICCを脱退する19年3月19日までの「麻薬戦争」における超法規的殺害について予備調査を開始。昨年9月には本格捜査を承認したが比側が自ら調査を行うと表明したのを受けて捜査は停止されている。
ICCは、捜査手続き開始時に比は加盟国であったため、脱退が捜査に影響を与えることはないとしている。つまりICCは、超法規的殺害など、同裁判所が起訴可能な犯罪について比が正当な捜査を行うことが不可能、もしくは行う意思がない場合、正式な捜査を開始することができるという立場だ。
ゲバラ訟務長官は、ドゥテルテ政権の司法相時代に麻薬戦争の捜査を始めたが、「これほど大規模で複雑な捜査は数カ月では終わらない」として、「ICCは比の捜査が終わるのを待つべきだ」と述べている。
法執行機関によって報告された約6200件の「麻薬戦争」関連の殺害事件で、司法省は150人の警官を含む52件を調査し、裁判になったのは5件だけである。
マルコス政権がICCになすべき最善の対応は、「麻薬戦争」の捜査を加速させることである。比の刑事司法制度が十分に機能していれば、ICCの捜査を受け入れる必要がないことは明らかであろう。(3日・インクワイアラー)