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8月7日のまにら新聞から

自己評価だからこそ良い指標 SWSの貧困率調査

[ 805字|2022.8.7|社会 (society)|新聞論調 ]

ソーシャルウエザーステーションが実施している自己評価による貧困率調査は、国民の日々の暮らしの実態に根ざした有用な指標だ

 ソーシャルウエザーステーション(SWS)が実施している自己評価による貧困率調査は、国民の日々の暮らしの実態に根ざした有用な指標だと思われる。

 2019年3月以降を見てみると、自分の世帯を貧困と思う割合は19年12月が最高の54%。21年5月が49%と2番目に高く、直近の22年6月と21年同月は48%だった。その他の月はコロナ前の38%から選挙前の43%の間。インフレや防疫規制など諸要因に大きく影響を受ける体感貧困率の動態を明らかにしている。

 6月26~29日に実施された最新の調査の結果としてSWSは「自世帯を貧困と思う世帯は第1四半期の109万世帯から第2四半期には122万世帯に増加した」と報告した。

 反対に「貧困でないと」思っている世帯は全国では21%だった。地方別に見ると、首都圏では26%から37%へ、ビサヤ地域では6%から10%へと改善。一方で、ミンダナオ地方では7%と変わらず、首都圏除くルソン地方では37%から28%へと急落。地域より異なる体感貧困率が数値に反映されている。

 ただし、サンプリングの精度としては、全国の値の許容誤差はプラスマイナス2・5%なのに対し、首都圏除くルソン地方はプラスマイナス4%、首都圏とビサヤ、ミンダナオ両地方はプラスマイナス5・7%と大きめになっている。サンプル調査を読む際は誤差への注意が必要だ。

 民間のSWSは政府の貧困削減政策に関し、有用な情報を提供した。それに対しアンヘレス大統領報道長官はジョクノ財務相が設定した「2028年までに貧困率9%に減少」をオウムのように繰り返した。しかし、どのように目標を達成するかについて詳細を説明できていない。

 民間調査は、政府が貧困削減にどれだけ真摯に取り組んでいるか確認するためにも重要な役目を果たす。政府は民間調査会社にも知恵を求め、最善の政策の策定の努力をすべきだ。(6日・マラヤ)

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