野党陣営が候補6人選出 次期大統領 副大統領選 ロブレド氏、元女優、人権活動家ら
来年の大統領選挙で現政権批判勢力の結集を目指す「イサンバヤン」は与党陣営への対抗馬となり得る大統領・副大統領候補者6人を選出した
来年の大統領選挙で現政権批判勢力の結集を目指す野党・自由党などの運動体「イサンバヤン」は12日、大統領への立候補の可能性が高まっている大統領の娘でダバオ市長のサラ氏の対抗馬となり得る大統領・副大統領候補者として6人を選出したと発表した。選出されたのはロブレド副大統領、グレース・ポー上院議員、トリリャネス元上院議員、ビルマ・サントス下院議員、エディー・ビリャヌエバ下院副議長、人権派弁護士チェル・ジョクノ氏の6人。
6人を最終的に大統領候補と副大統領候補の2人に絞り込むのは7月末を想定しており、イサンバヤンや連帯する組織のメンバー間でのアンケート結果で決定するとしている。
6人のうち、現時点で大統領選への出馬を表明している候補はまだいないが、ロブレド副大統領に対しては支持者らによる出馬要請運動が同日に始まっている。グレース・ポー氏は前回2016年の大統領選で無所属ながら3位に付け、上院議員としてはドゥテルテ大統領から一目を置かれつつ、与党とは一定の距離を置いてきた。
トリリャネス元上院議員はアロヨ政権下でのクーデター未遂事件の首謀者として収監されていた過去を持つが、07年に上院議員に当選、16年のドゥテルテ大統領就任後は政権批判の急先鋒に立ってきた。
ビルマ・サントス氏はレクト上院議員の妻で、有名女優、歌手として活躍後、バタンガス州知事などを経て、現在は同州選出の下院議員。
下院副議長を務めるエディー・ビリャヌエバ氏はビリャヌエバ上院議員の父。世界60カ国に500万の信者がいるとされる「ジーザス・イズ・ロード教会」創設者兼代表で、マルコス政権下での人権活動で2度投獄された経験を持つ。
チェル・ジョクノ氏は歴史が最も古く、規模も大きい人権派弁護士団体「自由法律支援グループ」(FLAG)の会長を務める。
▽モレノ市長は辞退
イサンバヤンの中心的呼び掛け人であるカルピオ元最高裁判事は「この6人は誰もがリーダーとなる素質を有し、破壊された経済の中で国民と国の未来を立て直してくれるだろう」と述べた。当初マニラ市のイスコ・モレノ市長とナンシー・ビナイ上院議員もイサンバヤンの候補者リストに入っていたが、両者からの要望でリストから外したという。
カルピオ氏は「はじめは興味を示していたモレノ氏だが、手紙を通じて辞退を伝えてきた」と語った。
ポー議員は現時点で大統領選への出馬予定はないとしつつ、ビリャヌエバ氏と共に、イサンバヤンの候補者に入ったことに謝意を表した。サントス議員は現時点で大統領選への出馬予定はないとしている。(岡田薫)