パラワンに米部隊存在 米大使館「比軍の活動を支援」
パラワン島の軍施設内に南シナ海を監視する米軍部隊が配置されていることが明らかに
南シナ海に面するパラワン島への訪問を終えたオースティン米国防長官は20日、自身のSNSで、同島に米インド太平洋軍の支援により設立された司令統制統合センターに、「USタスクフォース・アユギン」という組織が存在し、そこに米兵が配置されていることを明らかにした。「アユギン」は南シナ海における比中による管轄権争いの中心の一つになってきた、南沙諸島にあるセカンドトーマス礁のフィリピン名。在比米国大使館は20日、同タスクフォースについて、「比米軍の連携を促進し、南シナ海における比軍の活動を米軍が支援できるようにするために設立された」とし、その存在を確認した。
米政府・米軍はこれまで、緊張が高まる南シナ海での比による補給任務について「サポートする用意がある」との意思を表明してきたが、具体的な支援の形が明らかになるのは今回が初めて。
米国大使館によると、同タスクフォースは、比米相互防衛条約に基づき毎年開催される比米相互防衛・安全保障関与委員会、2022年に設置された比米軍海洋協力枠組み「バンタイ・ダガット(海の守り人)」を含む既存のフレームワークに沿って設置された。
比国軍のパディリャ広報担当は、「USタスクフォース・アユギン」の存在を確認した上で、その役割について、「国軍施設内にある司令統制統合センターで情報共有グループを通じた技術支援」と説明。南シナ海における「比軍の海洋状況把握(MDA)能力向上に役立っている」とした。
▽直接は参加せず
アニョ国家安全保障担当大統領顧問は21日、米軍タスクフォースは「アユギン礁における比軍の作戦について、情報収集・監視・偵察などの面で支援してくれている」とした上で、「定期補給任務は純粋にフィリピンの作戦であって、同タスクフォースは補給任務に直接の参加をしてはいない」とした。
米軍が配備されている司令統制統合センターは、比軍西部司令部内に立地。同司令部には、比米防衛協力強化協定(EDCA)に基づく米軍利用可能施設の建設地に指定されるアントニオ・バウティスタ空軍基地が隣接する。
比米基地協定が91年に失効してからは、米軍の永続的な基地の設置や軍隊駐留は認められていないが、2014年締結のEDCAにより米軍は「合意された場所に対する巡回に基づくアクセス」が可能となっている。(竹下友章、ロビーナ・アシド)