軍事情報包括保護協定を締結 オースティン国防長官とテオドロ国防相
訪比したオースティン国防長官がテオドロ国防相と会談し、軍事情報包括保護協定を締結
フィリピンを訪問したオースティン米国防長官が18日午前、首都圏ケソン市の国防省本部でテオドロ国防相と会談を行った。両者は比米間の軍事情報を安全に共有するための「軍事情報包括保護協定(GSOMIA、ジーソミア)」を締結した。国防省が18日にプレスリリースを発表し、会談内容を明らかにした。
国防省のアンドロン報道官によると、同協定は比米間における機密軍事情報の共有化を促進させる枠組みを提供するもので、両国間の安全保障関係をさらに強化するステップとなる。南シナ海で中国が海洋進出を強める中、比米間の軍事協力をさらに促進させるのが目的。
また、同報道官は、比米間でのGSOMIAの締結を契機として、日本や豪州などの他の同志国との間でも同様な協定を締結することも視野に入れているとしている。
ちなみに米国は日本との間で2007年に軍事情報包括保護協定を結ぶなど、これまでに60カ国以上の国と同協定を結んでいる。
一方、テオドロ国防相は会談後、オースティン国防長官に対して、比米間の安全保障分野における協力関係の強化に同長官が大きな貢献を果たしたとして、特別功労賞(OAM)も授与した。
オースティン国防長官によるフィリピン訪問はこれで4回目。同長官はテオドロ国防相との会談の後、マルコス大統領を表敬訪問した。また、その後の日程として、南シナ海に面するパラワン島にある国軍西部本部を訪問する予定も入っている。
▽EDCA施設が貢献
オースティン国防長官は18日、マラカニアン宮殿でマルコス大統領を表敬訪問した。同長官は大統領に対し、連続台風による犠牲者と甚大な被害に対して哀悼の意を伝えた上で、米国政府から追加で100万ドルを寄付することや、比政府に対し米軍による被災地支援も行うことを約束した。また、米政府が被災地に約45トン分の支援物資を追加で配布することも明らかにした。
米政府は9月以降、米国際開発庁(USAID)を通じて比の台風被災地に対して総額550万ドル分の支援物資を提供してきている。
マルコス大統領は、オースティン国防長官に対して米国政府による追加の支援表明に感謝の意を伝えた。また、比米防衛協力強化協定(EDCA)を通じて米軍が使用できる国軍基地内の施設が常設されていることで比の自然災害に対する備えや支援が「より拡充されている」との認識も示した。EDCAは、2014年に締結され、全国の国軍基地9か所に米軍が常設施設を設置することが可能となっている。(澤田公伸)