ドゥテルテ氏を副大統領候補に パッキャオ氏の去就にも注目 PDPラバン党員総会で決議
与党のPDPラバンが党員総会を開催、ドゥテルテ大統領を次期副大統領選の公認候補に指名する決議を採択した
与党連合の中核を担うPDPラバンの党員総会が5月31日午後、セブ市内のホテルで開催され、同党の名誉総裁を務めるドゥテルテ大統領を来年5月の副大統領選で党公認候補に指名することを盛り込んだ決議を賛成多数で承認した。また、ドゥテルテ氏とタッグを組む大統領選の党公認候補を選ぶ権限をドゥテルテ氏に一任することも決議に加えた。ドゥテルテ氏は総会にはビデオメッセージを寄せただけで参加しておらず、今後、この決議を受諾するかが注目される。
同党の総裁代理を務めるパッキャオ上院議員は自身の承認を得ずに総会が招集されたとして、総会への不参加を党員らに呼び掛けたことから一時混乱が生じた。しかし、31日の総会は、クシー・エネルギー相やプラサ経済区庁長官ら政府高官、デラロサ上院議員やトレンティーノ上院議員、全国の首長ら多数が直接またはオンラインで出席し、予定通り実施された。パッキャオ議員は、来年5月の大統領選への出馬に意欲を示しており、党員への不参加呼びかけに失敗したことから、同党を脱退し、自身を大統領候補として公認する新党を結成するとの見方も出ている。
総会ではドゥテルテ大統領が録画ビデオメッセージを通じて「党員間の団結を維持し、個人的利益を横に置いてコロナ禍における国民の福祉向上に力を入れよう」と呼び掛けた。
パッキャオ議員はドゥテルテ大統領に1対1での会談を申し入れているとも報じられており、次期大統領候補をめぐって直談判する可能性も指摘されている。
ロケ大統領報道官は最近、ドゥテルテ大統領が来年の大統領後任候補を指名する際には、娘のサラ・ダバオ市長やボン・ゴー上院議員のほかに、パッキャオ上院議員やマルコス元上院議員、さらにモレノ・マニラ市長から選ぶ可能性があるとも指摘していた。
PDPラバンの執行部は31日、7月16日に次回の党員総会をルソン地方で開催すると発表。10月初めから始まる正副大統領選を含めた来年の統一選挙の立候補届け出期間を控え、早ければ7月の総会の前後に同党の大統領公認候補を発表する可能性もある。
また、ドゥテルテ大統領が副大統領公認候補の指名を受諾すれば、大統領経験者が副大統領に立候補するというフィリピンの選挙史上で初めての展開になる。(澤田公伸)