野党は副大統領中心に サラ立候補へ2千万人署名運動
次期大統領選で、野党は副大統領を中心に候補選ぶ。サラ氏を与党候補にと署名運動も
野党のパギリナン自由党党首は4日、2022年大統領選での同党公認候補として、ロブレド副大統領を中心に候補者を選ぶとの見通しを明らかにした。また、与党の公認候補としてドゥテルテ大統領の娘、サラ・ダバオ市長を推す民間団体が首都圏でサラ氏に立候補を要請する2千万人署名運動を開始するなど、来年5月の大統領選に向け、各陣営が本格的に動き始めた。5日付英字各紙が報じた。
自由党党首を務めるパギリナン上院議員によると、ロブレド氏は新型コロナウイルス対策を優先するとして、まだ立候補の意向を示しておらず、自由党も公認候補の選定に向けた会合の開催時期も決めていないとしているが、ロブレド氏を中心に今後、調整が進むとみられる。
▽巻き返し目指す
自由党は2019年の中間選挙で、大統領候補にもなったマー・ロハス元内務自治相やバム・アキノ元上院議員を含む上院選の公認候補12人が全員落選するなど、政権与党との対決で完敗を喫しており、22年の正副大統領を含む統一選挙で巻き返しを目指す。
民間調査機関、パルスアジアが昨年12月31日に発表した正副大統領候補に関する人気度調査では、大統領候補としてサラ氏が全体の26%の支持を得てトップだった。ボンボン・マルコス元上院議員とポー上院議員が14%と同率で2位につけ、4位がモレノ・マニラ市長(12%)、5位がパッキャオ上院議員(10%)で、ロブレド副大統領は同8%で6位と今ひとつ伸び悩む。
一方、サラ氏を支持する民間団体、サラ・ドゥテルテ・ボランティアーズは4日、首都圏でサラ氏を与党の公認候補に指名するよう求める署名活動を開始すると発表した。2千万人の署名獲得を目標としている。サラ氏は、コロナ対策などダバオ市政に集中するとして、大統領選の話題を避けてきたが、先月末には「野党も支持なら出馬する」と述べ、初めて大統領選への意欲を示したばかり。
▽パッキャオ議員は静観
一方、大統領選への担ぎ出しの動きも報じられているボクシング世界6階級制覇のパッキャオ上院議員は4日、大統領選立候補についてインタビューされ、「パンデミックの最中に政治について話すのは適切ではない」と述べ、静観の構えを見せている。
同議員は「政治家たちもパンデミックを政治の具に使わないように」と述べ、選挙を見据えたコロナ対策論議にくぎを刺した。
5日付英字紙マラヤによると、ドゥテルテ大統領は最近の閣僚会合で、与党の次期上院選の公認候補にふさわしいとして現役の閣僚ら9人の名前を挙げたという。
この9人は、ビリヤール公共事業道路相、ロペス貿易産業相、トゥガデ運輸相、ドゥケ保健相、ベリョ労働雇用相、ノグラレス内閣相、パネロ大統領法律顧問、ロケ大統領報道官、ガルベス大統領補佐官だった。(澤田公伸)