中国の「海警法」を批判 南シナ海情勢に懸念
強制撤去などを盛り込んだ内容をロケ大統領報道官が批判。南シナ海情勢に懸念
中国海警局の武器使用を含む任務と権限を定めた「海警法」が成立し、2月1日に施行される。同法では、管轄海域内に外国の組織や個人が無許可で建設した構造物を「強制的に撤去できる」と規定され、外国船に乗り込んで検査したりすることも許可されていると報じられており、南シナ海(比名・西フィリピン海)で領有権を争うフィリピンやベトナムとの緊張も高まりそうだ。
フィリピン大統領府は25日、同法について、海上法執行機関の武力行使は「一般的に禁止されている」と批判し、「西フィリピン海(南シナ海)の状況を悪化させるような国がないことを望んでいる」と表明した。
中国国営中央テレビの報道を伝えた時事通信によると、中国の全国人民代表大会(国会に相当)常務委員会は22日、「海警法」を可決し、同法は成立した。
昨年11月に公開された海警法草案は、中国の主権や管轄権を侵害する外国の組織、個人に対して、海警局が「武器の使用を含むあらゆる必要な措置」を取り、危険を排除する権利があると明記。(1)中国の法に違反した外国の軍艦や船舶に関しても、退去を命令したり強制的な措置を取ったりすることができる(2)外国の組織や個人が無許可で管轄海域内に建設した構造物を「強制的に撤去できる」──と規定している。
これに対して、ロケ大統領報道官は25日、「国は自国領土内で執行される法律を可決する権限を持っているが、その法律は中国が加盟している国連海洋法条約に基づく義務に従うべきだ。一般的な国際法の下では、武力の使用は、自衛で領土内に軍隊を送る必要がある場合と、国連安全保障理事会が認めた場合の2つの例外を除いて禁止されている」と指摘し、中国の新法をめぐる動きにくぎを刺した。
ロケ報道官は弁護士で、国際法を比大で教えていた経験もあり、「どの国も西フィリピン海問題で状況を悪化させないことを願っている。ドゥテルテ大統領は領有権を主張する国すべてによる行動規範を完成させたいと考えており、これに従うべきだ」とも述べた。(谷啓之)