ミンダナオ和平、転換点に 暫定機構発足、未解決の課題も
ミンダナオでイスラム自治政府創設を目指すバンサモロ暫定統治機構が発足
ミンダナオ島でイスラム自治政府創設を目指すバンサモロ暫定統治機構(BTA)が22日、実質的に発足した。26日にコタバト市で正式にバンサモロ・イスラム自治政府(BARMM)の権限を引き継ぐ。BTAは暫定的な行政権と立法権を持ち、首相代行にモロ・イスラム解放戦線(MILF)のムラド議長が就任。この結果、長年にわたり紛争が続いていたミンダナオ南部地域は、和平に向けた大きな転換点を迎えた。
BTAは2022年に選挙を実施、正式にイスラム自治政府が発足する運びだ。自治政府には幅広い自治権が付与されるが、武装勢力の武装解除など未解決の課題も多く、和平プロセスの実現にはなお曲折が予想される。
22日は大統領府で、ドゥテルテ大統領から任命されたBAT代表80人の就任宣誓式が行われた。代表には「ブラボー司令官」と呼ばれるMILF軍事部門の幹部も含まれた。
1月21日と2月6日に行われたバンサモロ基本法(BOL)批准の住民投票で、大部分の州と自治体で賛成が多数を占めた。現在のイスラム教徒自治区(ARMM)に加え、コタバト市とコタバト州のほとんどのバランガイ(最小行政区)が賛成したことで、自治領域が拡大することになった。BTAは暫定的な行政権と立法権を持ち、22年に選挙を実施、正式なイスラム自治政府が樹立される。
自治政府には徴税権や予算編成権など幅広い権限が付与されるが、交付金や国税、天然資源の配分、武装勢力の武装解除と軍・警察への編入など未解決の課題もあり、今後、BTAと中央政府で折衝が継続されることになる。
またイスラム教徒といっても民族構成は単一ではない。BTAの中核をなすMILFと、BTAの代表には参加したものの、和平プロセスにやや距離を置くモロ民族解放戦線(MNLF)の両武装組織の勢力地図と併せて、和解の道をどう構築するかも大きな課題だ。(横山立)