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7月27日のまにら新聞から

事件解決で正義実現を 元州知事死去

[ 724字|2015.7.27|政治 (politics)|新聞論調 ]

 ミンダナオ地方マギンダナオ州で2009年11月に発生した大量虐殺事件の首謀者とされるアンダル・アンパトゥアン同州元知事が死去した。元知事が亡くなったからといって、犠牲者58人の遺族が彼を許すことはできないだろう。許しが与えられるのは正義が実現された後になる。元知事が17日にがんで死去した一方で、裁判はいまだ遅々として進んでいない。

 アンパトゥアン元知事は、同州のイスラム教徒自治区を完全に支配、歯向かう政敵の一掃を目論んだ一族の長老だった。元知事が死去したのは拘置先から一時移されていた首都圏ケソン市の病院。大量虐殺の容疑者のため、保釈は許されなかった。息子や一族は300人の警官や兵士、民兵を編成し、32人の報道関係者を含む58人を射殺した。遺体は丘の上に穴を掘って捨てられた。

 フィリピンの司法制度の問題点を熟知している者は、犠牲者と容疑者の数が非常に多いため、公判は200年かかると危惧している。しかし、主犯格はすでに拘束されており、目撃者の証言もあることから、検察と裁判所は公判を迅速化することができるはずだ。

 被告の死によって正義が実現されるわけではない。真実がすべて明るみに出てこそ罪が確定し、適切な罰が科せられる。マギンダナオ州の虐殺は、比の歴史上、最悪の政治暴力だ。犠牲者の遺族の正義が実現されないため、比は未解決の報道関係者殺害事件が多い国として5本の指に入っている。

 大量虐殺事件の解決は選挙に関係する政治暴力の抑止につながる。民主国家の中で、比は選挙絡みの傷害、殺人事件が最も多く発生している国のひとつだ。司法制度の問題で解決が遠のくことが、傷害、殺人事件が多い最大の理由になっている。 (20日・スター)

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