汚れた地位
行政監察院長の弾劾問題
アキノ大統領は下院議員に圧力を掛け、グチェレス行政監察院長に対する弾劾決議案が下院本会議で可決された。信じ難いかもしれないが、それが事実だ。大統領報道官は「これは民主主義が導いた栄光。すべてに法律が適用され、誰も監視や責任を免れえないという事実を証明した」と称賛した。
2010年8月に起きたバス乗っ取り事件で、大統領が側近たちの責任を不問にした際、責任追及の原則は存在したのだろうか。大統領が愛車ポルシェを売却し、別の高級車を購入した際の説明責任はなぜ問われなかったのか。
率直に言うと、大統領は、同院長の弾劾手続きに積極的に関与し、大統領という地位を汚し続けた。上院の弾劾裁判でも、有罪判決を勝ち取るため、陪審員となる上院議員に圧力を掛けるのだろうか。
ラクソン上院議員に対する公訴棄却判決の再考を求めた司法省の申し立てがこの時期に却下されたのは偶然ではないだろう。それは有罪への一票が加算されるからだ。
個人的には、確たる証拠に基づくならば、弾劾手続きに反対はしない。しかし、今回の下院審議を見る限り、次に最高裁判事らが弾劾の犠牲となる序章の幕開けを示唆しているようだ。
下院議員は汚職撲滅の模範でもなければ、説明責任や監視という任務を果たせるわけでもない。優先開発補助金を支給され、自身の財力を超えた彼らの生活に着目すれば理解できることだ。
アキノ大統領に弾劾が申し立てられた場合、同胞の議員は公正な判断に基づいた手続きが可能だろうか。大統領の指示がそれを不可能にし、新たに任命された行政監察院長もその指示を仰ぐことになるだろう。しかし、それがこの国の現実だ。(23日・トリビューン、ニニェス・オリバレス氏)