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7月5日のまにら新聞から

新味なく財源もなし

[ 683字|2004.7.5|政治 (politics)|新聞論調 ]

重要課題の点検

 第二期アロヨ政権は船出に当たり「重点課題十項目」を発表した。アロヨ大統領は過去三年半の実績以上のものを目指しているようだが、政策に新味はない。最重点課題のはずの財政赤字を拡大させるだけである。以下、十項目を詳細に検討してみる。

 ①年間百万人の雇用創出︱大統領はこの実現のために中小企業への融資を三倍に増やし、農地を百︱二百万ヘクタール開墾すると約束した。しかし、一人を雇用するための経費を熟慮してのことなのか。例えば、トラック運転手一人の雇用は、トラック一台の購入だけですまない。倉庫や搬出入すべき製品が必要になる。製品製造には労働者の雇用と設備投資が欠かせない。任期中に小企業経営者と農業投資家に六千億ペソもの融資を実行せねばならない。

 ②教育の充実︱新校舎を十分に建設し、全生徒に教科書とコンピューターを割り当て、貧困家庭の子弟への奨学金制度を設けるための自主財源はない。債務は確実に膨らむ。

 ③財政収支の均衡︱即時実行すべきだ。このためには借入を止め、汚職を根絶して税収を増やし、歳出を削減せねばならない。さらに小さな政府を実現し、政治家の利益誘導型公共事業を削減せねばならない。これは至難の技である。

 ④輸送網、インターネット網の拡充⑤地方拠点都市整備⑥クラーク、スービックの広域開発⑦反政府勢力との和平⑧国内勢力の分裂解消⑨無灯火村解消︱いずれも金はかかるが、「異議なし」としたい。ただし、過去三年半のアロヨ政権の実績を考慮するといささか心もとない。⑩選挙の電算化︱簡単だ。最高裁に判決を覆させれば実現する。(2日・マラヤ、ダッキー・パルデス氏)

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