前途多難な門出
第2期政権スタート
アロヨ大統領の就任演説は理想的とはいえない環境下でなされた。台風の影響で、大統領の就任演説に青空が望めなかったことは象徴的だ。たかが天気のことではあるけれど。
大統領は新品ではないドレスに身を包み、今後六年間の計画について具体的な数字を挙げて述べた。六百万人以上の雇用を創出することなどについてである。徴税を徹底し、得た予算を正しい目的のために使うことも強調した。
開票作業を通じ、国会が政府の支配下にあったことは人々の記憶に新しい。また、より鮮明なのは就任演説の前日に政府が警官隊を使って民衆を暴力で蹴散らしたことだ。残念ながらタイミングが悪すぎた。催涙ガスや放水車による放水は、まさにマルコス政権下の再来だ。
しかし演説で大統領は、英語とフィリピン語の両方で「選挙に対する疑問の声はひとつとして挙がらないだろう。公正な選挙で国民に選ばれたのだから」と言い放った。三年半前に、自身が貧しい者の味方であると強調し、「良き政府」のための行動計画について言及した。しかし、成果は上がっていない。
ますます国民は海外へ職を求め、中小企業活動は停滞、公共への奉仕は減り、路上で暮らす子どもは増え、財政はがたがた︱︱というのが新政権を取り巻く現実だ。人口増に加え、広がるばかりの貧富の格差、軍による反乱の気配は根絶できず、政府や民間企業による汚職問題も解決していない。
三年前、希望に満ちていた大統領は「エドサ2はフィリピン人の偉大さが劇的に表れたもの」とたたえた。しかし、その偉大さと機会は浪費されてしまったのだ。(1日・インクワイアラー)