奪われた独立 バラギガの「百周年」
[ 1212字|社会 (society)|奪われた独立 バラギガの「百周年」 ] 有料語り継がれる抵抗の歴史
六月十二日、フィリピンは国を挙げて「独立百周年」を祝う。だが、一八九八年のこの日宣言された「独立」は、続く米国、日本の植民地支配により蹂躪(じゅうりん)されてしまう。フィリピンの人々がスペインに次ぐ新支配者、米国に対し蜂起した場所の一つがサマール島バラギガ町だ。この無名の町が百周年記念日を前に、にわかに注目の的となった。占領中の米軍への決起を住民に促すため鳴らされたこの町の教会の鐘が米兵により米国に持ち去られたため、ラモス大統領は最後となった四月の公式訪米の際、鐘返還をクリントン大統領に直談判したからだ。米国の復員軍人協会の反対で返還は実現しなかったが、独立への希求の象徴となったバラギガ町を訪れ、現地で「百周年とは何なのか」を探ってみた。(池田華子)