「すべての人に長寿と幸福を」 新型コロナ以外の病気予防も
5歳以下の子どもが新型コロナウイルスに感染した例はある。だがこの年齢層は一般的に同ウイルスに対し強い抵抗力を示している。その一方で、麻疹(はしか)のような幼少期に発症し、死に至る可能性がある伝染病への免疫を持つわけではない。 世界予防接種週間を迎える中、フィリピンの保健専門家は特に子どもたちが対面式授業に戻る今後数ヶ月の間に、新型コロナ以外の病気が流行する可能性について、懸念を表明している。 過去2年間、親が子どもを新型コロナ感染の可能性から遠ざけていたため、保健省のデータによると、小児予防接種の接種率は2019年の約70%から21年には48・5%に急落した。このため比では、麻疹による小児の死亡が急増したほか、20年ぶりにポリオの再流行も起きた。コロナ以前から小児予防接種プログラムは、抗デング熱ワクチン「デングバクシャ」を巡る論争から生じたヒステリーに苦しめられていた。 政府は過去2年間に予防接種を受けなかった推定110万人の乳幼児のうち、少なくとも80%に結核、麻疹・おたふく風邪・風疹、B型肝炎、髄膜炎、ジフテリア、破傷風・百日咳、ポリオといった予防接種を行うことを目指している。 4月の最終週は、効果的な予防接種プログラムの重要性を強調するため、政府は特別な週と位置づけている。ただ、こういった取り組みもコロナ禍で複雑化している。 世界保健機関(WHO)と国連児童基金(ユニセフ)のデータによると、2020年だけでも世界で約2300万人の子どもたちが基本的なワクチンを受けられずにいるという。WHOは東南アジアと東地中海沿岸でのワクチン接種が最も減少したとしている。 WHOは、1796年以来、ワクチンが無数の命を救ってきたとして、世界予防接種週間に「すべての人に長寿と幸福を」とのテーマで接種の呼び掛けを行っている。比では幅広い疾患に対し、全年齢層へのワクチン接種を強化する動きがあり、この呼び掛けと共鳴するはずだ。(27日・スター)