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9月4日のまにら新聞から

変わらぬ下院議長の習慣 21年度予算案の仕組み

[ 775字|2020.9.4|社会|新聞論調 ]

 2021年度予算案が先週、議会に提出された。4兆5千億ペソの歳出でインフラ支出の割合を高めることにより、来年の経済が回復するという奇跡を政府は信じているようだ。社会福祉開発省向けの予算が1712億ペソと今年度予算の3665億ペソから半分以下

になった。コロナ禍で失職した者たちや貧困層への現金給付などが削られ、道路や建造物への支出に振り替えられる。貧困層の苦難に無関心だと批判されても反論できまい。

 予算が最も増えたのは公共事業道路省で、総額6673億ペソと今年度実績比で55%引き上げられた。次いで運輸省が1436億ペソまで増額。鉄道事業だけで1063億ペソが割り当てられている。インフラ事業というのは過去に問題視された「ポークバレル」と呼ばれる優先開発補助金と同義語だ。議員個人に割り当てられたポークバレルは2013年に最高裁によって違憲判決を受けたが、それ以来、上下両院の審議で各省庁の予算項目に組み込まれるようになった。現在の下院議長が上院議員だった時に、そうした手法を編み出したと言われている。

 ちなみに今年度予算案の議会における承認も、下院のリーダーたちによる土壇場での積み増しを巡って上下両院で協議が紛糾し、かなり遅れた。予算管理省は今年初めコロナ禍の対策資金が必要となり、下院議員の選挙区向け事業予算項目を凍結せざるを得なかった。しかし、下院議長はこの措置を批判されるごとに、ポークバレルではなく予算項目であり、合法だと反論する。

 国の予算は統治の道具だが、実際は縁故関係の強化や政治的な忠誠心を試す道具として使われている。来年度予算審議の見通しはまだ不透明だが、はっきり言えるのは、国民が 辛苦に喘いでも、この下院議長による昔からの習慣を変えることはできないということだ。(2日・ブレティン、ジェジョマール・ビナイ)

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