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5月6日のまにら新聞から

新聞論調

突如消えた慰安婦像 歴史認識を今、考える

[ 657字|2018.5.6|社会|新聞論調 ]

 土曜日の朝、マニラ湾遊歩道を散歩、ジョギングしていた人々は、フィリピンの伝統衣装を身にまとい、目隠しをされた慰安婦像が消え去っていたことに気付いた。そして突如として道の真ん中にショベルカーが置かれ、溝が掘られていた。金曜日の夜、公共事業道路省の作業員たちは排水工事という名目で像を撤去した。

 昨年12月の像設置の後、日本政府は「遺憾の意」を表していたものの、設置時には国家歴史委員会などの政府機関も設置に許可を出しており、日本政府の抗議に影響されてか、政府による撤去は議論を呼んでいる。第2次世界大戦中、旧日本軍により約千人もの比人女性が慰安婦とされた。像はその様な残酷な歴史が忘れ去られないように建てられた。

 撤去に関しドゥテルテ大統領は「日本政府はすでに賠償金を払っている」と、多くの比人と同じような間違った認識を示した。90年代に慰安婦問題が明るみになってきてから、元慰安婦たちは国家賠償と謝罪を求めてきたが、払われたのは政府からでなく財団法人を通した国民からの募金だ。歴史教科書への慰安婦についての記載も少なく、日本政府が慰安婦の歴史を認めることを拒む姿勢は明らかだ。

 比政府による撤去は、日本からの巨額な経済支援に対する感謝の意を表すものだったのか。日本は確かに比に対し多大な財政、技術支援をして比の成長に協力してくれているだろう。しかし支援と引き換えに像を撤去することはできない。比人女性の尊厳や戦争中に日本がした行為を売り飛ばすことは、決して許されないだろう。(3日・インクワイアラー)

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