新聞論調もう十分ではないか 麻薬戦争と被害者拡大
これほど明らかに失敗し、乱用され、一貫性のない政策にもかかわらず、「麻薬戦争」はまだ続いている。大統領も「情け容赦ない戦いになる」と宣言した。ブラカン州で一日に32人が殺された際、大統領は「よくやった」と満足感を示した。この32人が本当に麻薬使用者だったのかを証明することなど気にせず、彼は「もし毎日32人ずつ殺すことができれば、この国の問題を減らすことができる」と述べた。
相手が抵抗したから殺したとする説明を否定する証言や監視カメラ映像が出てきても気にしないのだ。数日前に大量の覚せい剤がやすやすと輸入されていたというニュースも気にしないのだ。マニラで一日に25人が殺された時も「俺がやつらを全員殺したらこの問題は解決する」と大統領は言い放った。証言によると、無抵抗ながら射殺された17歳の高校生が含まれていたが、警察は後で「彼は麻薬の運び屋だった」と声明を出した。犠牲者の数も諸説あるが、これらの犠牲者を麻薬戦争に巻き込まれた「不運な被害者」だと見る人も多い。
これだけの残虐事件が起きながら怒りの声が沸き上がらないのは、私たちの道徳心がすでに破壊されたからなのか。ボクシングの英雄、マニー・パッキャオ上院議員も10代の頃に麻薬を使っていたことを告白している。人気俳優のロビン・パディリアもかつて麻薬使用者だった。つまり、麻薬使用者は決して救済できないような人たちではないのだ。
殺された高校生は射殺される直前、「もう十分です。もう十分です」と叫んだという。彼を生き返らせることはできないが、われわれがこの彼の叫びを抵抗の声として響かせることはできるだろう。(24日・インクワイアラー、ギデオン・ラスコ氏)