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5月28日のまにら新聞から

不可思議な選択 ミンダナオの戒厳令

[ 739字|2017.5.28|社会|新聞論調 ]

 ドゥテルテ大統領は惰性で物を言う傾向があり、人を驚かせたり異様な物言いで会話を中断させることも好きで、しばしば合理性を飛び越えてしまう。自分が国家そのものだと思っている節もある。このような彼の特徴がここ数日間、特に顕著だった。山賊たちがマラウィ市に侵入した時、行政の長はロシアに滞在しており、外遊を切り上げると、はるか離れたモスクワからミンダナオ全土に戒厳令を布告したのだ。

 比に戻ると大統領は戒厳令をビサヤやルソン地方に拡大させると脅しをかけ国民を驚かせた。左派系下院議員は記者会見を開き、戒厳令の布告を受けて与党連合への支持を取り下げると反発した。この措置が比共産党の軍事部門、新人民軍(NPA)を追い詰めるものだとし、共産党も軍事部門に対して政府軍への攻撃態勢を整えるよう指示した。しかし知識人が反応するように、ドゥテルテ大統領による戒厳令がマルコス政権下で布告された戒厳令と同じく人権侵害につながると、簡単に結び付けることはできない。

 マギンダナオ州で地元首長による政敵やメディアらに対する大量虐殺事件が起きた際、当時のアロヨ大統領は同州に戒厳令を布告。その結果、虐殺に関与した容疑者らの一斉逮捕、銃器や証拠の押収などに成功し、容疑者らの起訴につながった。

 同市を襲撃したマウテ・グループは自分たちの首領が市郊外の隠れ家で国軍に拘束される可能性が強まったため、明確な作戦もなく、市内になだれ込んだとみられる。つまり首領の救出作戦を実施したに過ぎなかったのだ。彼らは無謀にもジャングルから飛び出し市街地で袋のネズミ状態となってしまった。今回の襲撃は明らかに間違った作戦だったが、戒厳令布告はさらに不可思議な選択だった。(27日・スター、アレックス・マグノ氏)

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