中国主導の未来へ対処を 国際支援と外交
ドゥテルテ大統領のさまざまな声明を検証し、中国が主導する未来への対処方策を考える時だ。米国に支援を求めることも外国戦略の選択肢の一つである。
2012年から中国が実効支配を始め、レーダー施設を造っているスカーボロ礁について、大統領は「われわれは中国の行動を止めることはできない。中国に宣戦布告してほしいのか」と言った。
ルソン島北東部に広がり豊富な天然資源を有するといわれるベンハム隆起を、中国の探査船が調査を行った時、大統領は「彼らはフィリピンの領海内だと認めている。それで満足しないのか」と言った。
ベンハム隆起は比の大陸棚にあり主権が及ぶと国連海洋法条約の委員会に認められている。しかし、大統領は自身のみが知る合意で中国の調査船がベンハム隆起に入るのを許したという。中国の経済支援が欲しい今、争うことはやりたくないとも。そして昨年、南シナ海の領有権を巡る仲裁裁判での中国の言い分には根拠がないという主張はしないことで習近平主席と合意してしまった。
最高裁のカルピオ判事は戦争をせずにスカーボロ礁の利益を守る外交戦略を提案している。その内容は(1)比の主権を認めた判断を基に中国に抗議する(2)スカーボロ礁を海軍がパトロールし、中国が難色を示したら比米相互防衛条約(MDT)で米国に防衛を要請する(3)米国にスカーボロ礁は比の領土の一部だと認めてもらう(4)共同でパトロールを行う米海軍の申し出を受ける──というものだ。
大統領は米国の追加支援を求めないようだが、それはばかげている。先ごろ、マティス米国防長官は、日本が中国などと領土問題を争っている尖閣諸島は日米安全保障条約の適用範囲だと認識を示した。
賢明な国は戦争に進むべきではない。地域の安定性を保つために外交のすべての選択肢を追求し努力するべきなのだ。(22日・タイムズ)