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3月21日のまにら新聞から

合同哨戒で日本に「期待」 慰安婦問題「終わったこと」

[ 1391字|2023.3.21|社会 (society) ]

駐米比大使が比日合同哨戒に「強く期待」。法相は「慰安婦問題は終わったこと」

会見でスピーチするレムリヤ司法相=20日午後0時半ごろ、首都圏マカティ市ダイヤモンドレジデンスで竹下友章撮影

 首都圏マカティ市ダイヤモンドレジデンスで20日、ジョクノ財務相、ロドリゲス駐米比国大使、レムリヤ司法相らを招き外国人特派員協会による記者会見が開かれた。米国からオンラインで参加したロムアルデス大使は、比日合同海上哨戒に関するまにら新聞の質問に対し「比防衛当局は日本政府および自衛隊と対話の場を持っており、合同海上哨戒についても日本やその他の『同志国』との合意に向かっている」と発言。その上で「合同哨戒は抑止力となり平和と安定に貢献する。日本には米国、豪州と共に、地域への役割を果たすよう強く期待する」と述べた。

 同大使はまた、7年振りとなる比米防衛外務閣僚会合(2プラス2)が、来月中旬を目処に米国で開催されることを明らかにした。更に、マルコス大統領の国賓としての訪米については「具体的な予定は早ければ来月にも発表できる」とした。

 比米防衛協力強化協定(EDCA、2014年締結)に基づく米軍利用可能施設の増設が決定したことについては「比の国防戦略に沿っており、比国防力の強化に資する」と説明。これまでEDCA施設追加を人道支援や災害対応を主たる目的と述べてきた政府見解より一歩踏み込んだ発言を行った。

 EDCA施設の新設対象地とされる、台湾に近いルソン地方北部カガヤン州のマンバ知事がEDCA施設設置に反対の声を上げていたことについては「カガヤン州への中国投資の引き上げを懸念しているのかも知れないが、中国への債務を返済できずに中国に99年リースされることになったスリランカの港(ハンバントタ港)の例を考えてほしい」と警告した。

 同日、大統領和平プロセス顧問事務所はカガヤン、南カマリネス両州の知事が追加EDCA施設の受け入れに合意したと発表している。

 ▽慰安婦問題終わった

 会見にはレムリヤ法相も登場。「比政府は慰安婦に補償する可能性があるか」というまにら新聞の質問に同相は「この問題はすでに何度も最高裁で争われており、解決済みだ」と明言。その上で、日比賠償協定と日本政府も出資したアジア女性基金による「償い事業」を念頭に「比はすでに2度にわたって補償された。この問題は終わらない賠償要求になろうとしているが、終止符が打たれるべきだ」と述べた。一方で「歴史を忘れるべきではない」とも指摘した。

 2015年の日韓合意のように、過去の補償とは別に新たな賠償に求める可能性については「これまでに出てきていない犠牲者が名乗り出、証拠を提出するなら正式に比政府が代表して(日本に)申し入れることも可能だ」とし完全には否定しなかったが、「もしこれまでやってきたことの繰り返しなら、もう終わったことだ」と強調した。

 慰安婦支援団体の「マラヤ・ロラズ」は、比政府を相手取り、元慰安婦への日本による国家賠償を請求することを求める申し立てを最高裁判所に提出していたが、2010年、2014年に棄却されている。

 また、前政権の麻薬撲滅政策下で行われた超法規的殺害への予備調査を始めたことを機に比が脱退した国際刑事裁判所(ICC)への再加入の可能性については「比には司法制度が整っており、再加入する必要はない」と断言した。

 司法省がドゥテルテ大統領を捜査する可能性があるかどうかを聞かれた同相は「正式に被害届を提出するといい」とすごんで見せた。(竹下友章)

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