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ジャーナリズムへの姿勢 アン氏の人間性

2019/4/28 社会

 約10年前、私は映画の脚本書きや監督業がうまく行かず、政治や歴史に焦点を当てたブログをつづる毎日だった。そんな時、幸運にも英字紙マニラ・タイムズのダンテ・アン会長と出会い、この「私は言う」のコラム欄を任された。

 私より良い書き手などは数千といる。なぜ彼らではなく私がコラムを書いているのか。シンプルなことだが、アン氏と直接出会えたからに尽きる。同じ子の名付け親で、かつて最も発行部数を誇った新聞社の編集者が社長の反感を買って早期退職。別の新聞社では、力強いコラムニストの友人が編集方針に従わなかったとして解雇された。個人所有のニュース媒体を守るため、民間企業システムは報道の自由にも制限を加える。アン氏自らの署名が入った、22日付のマニラ・タイムズ紙の現政権打倒を目指すメディアの相関図「マトリックス」の自社記事に、サルボサ編集局長はツイッター上で事実関係に疑問を投げかけた。

 それを拾い上げて拡散したのはテレビ局ABS─CBNだ。そのニュースが広がった朝、スタッフから「ジャーナリストには表現の自由はないのか」と問われた。

 前日アン氏と会っていたが、彼は私のコラムに何の注文も出さなかった。大統領の国際広報特使を務めていながら、私が大統領を批判した時でも、彼からの介入はなかった。唯一の例外は、私がニュースサイト・ラップラーのマリア・レッサ氏を批判した時だ。「彼女にも言い分を与えろ」と、アン氏は自らの敵を擁護し、私をたしなめた。それが彼なのだ。(27日・マニラタイムズ、マウロ・ギア・サモンテ)

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