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5月28日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 629字|2012.5.28|社会 (society)|ハロハロ ]

 メキシコやキューバでしばらく暮らした後、いったん、せわしない日本へ帰り、今度はフィリピンに生活拠点を移してから、ちょうど2カ月。何事も「また、明日ね」(アスタ・マニャーナ)の中南米と同様に、ゆったりとしたこの国の時間の流れが心地よくなってきた。暑い。暑いから、急がない。いや、急げない。30分遅れようが、1時間遅れようが構わないじゃないか。残念ながら、締め切りに追われる新聞社の仕事だけは、そうはいかないけど。

 かつて、米国のある社会学者が書いた「時間の文化論」を読んで、なるほどなあ、と得心したことがある。それによると、世界には二つの時間文化圏がある。直線の時間文化と円形のそれである。前者は、欧州の北半分、北米、そして日本の行動規範であり、後者は、ラテン系欧州諸国、アジア、アフリカ、中南米諸国に広がる。時間が直線であれば、終着点(目標)が見える。そこに最速で到達するため、予定表を守って日々、必死に走る。遅刻は許されない。

 時間が円形であれば、いくら急いでも、いずれは元に戻る。だから、少々遅れても、会いたい人に会えればいい。遅刻に、目くじらを立てる理由はない。メキシコの大学の授業は15分、20分遅れで始まるのが普通で、だれも文句を言わなかった。ところが、優勝劣敗のことわり。グローバル化の波に乗り、勝者を自認する直線の時間文化論が地球を席巻し、円形の時間文化を信奉してきた人たちの肩身は、狭くなる一方だ。仕方ないのかな。(竹)

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