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5月14日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 567字|2012.5.14|社会 (society)|ハロハロ ]

 羽田を飛び立った沖縄便が伊豆半島上空に差し掛かると、雲海の中に中腹まで雪をかぶった富士山が眼下に飛び込んできた。飛行高度は8千メートル近くもあろうか。地上は曇り空だったが、雲の上は真っ青に晴れ上がり、きれいなパノラマが広がる。慌ててカメラを取り出しシャターを切った。主翼先端の垂直に立った赤色のウイングレット(翼端板)が見事に富士の引き立て役になった。

 那覇で乗り継いで夕方、石垣空港に着く。北朝鮮のミサイル発射騒動が落着し、自衛隊が配備した地対空誘導弾パトリオットなどの撤収作業のさなかだった。石垣港には輸送艦2隻が接岸していた。「自衛隊配備の地ならし」と批判する声もあったが、大きな騒ぎにはならなかったと聞いた。西表島から高速船で石垣港に戻る途中、隊員が艦上に整列して一斉に手を振りながら帰還する輸送艦とすれ違った。

 ホテルでは連夜、島唄ライブが開かれた。地元のアーチストが交代で出演、弾き語りしながら沖縄の民謡を聞かせる。「忘勿石」(わすれないし)という自作曲をシンガーソングライター前花雄介が歌った。西表島に集団強制疎開させられ、島民の三分の一がマラリアで病死した日本最南端の波照間島の出来事を忘れないでほしいと訴えた。「もうひとつの沖縄戦」「マラリア戦争」とも呼ばれているこの悲劇を初めて知った。(富)

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