なぜオナ氏?
厚生長官人事問題
アキノ大統領は何をもって、エンリケ・オナ氏が厚生長官に最適だと考えたのか。おせっかいなインターネット利用者は、同氏が大統領に禁煙しなくてもよいと発言したからだと言うが、あながち冗談でもない。オナ厚生長官の任命は、大統領を支援し続けてきた人々も含め各界を驚かせた。特に、驚いたのはアキノ政権の公衆衛生策に関する公約で重要な助言をしたとされ、精力的な支援を行ったハイメ・タン氏だろう。
タン氏はラモス政権で厚生長官を務め、大規模な予防接種や禁煙キャンペーンを成功させた。また、1970年代から伝統的な薬草を導入した新しい公衆衛生策を提唱してきた。
アキノ大統領のオナ長官任命で、各界からは異議が飛び出した。民間団体「民主主義のための保健同盟」は、「タン氏が厚生省で目指すのは、国立腎移植研究所で所長としてやってきた公立病院の民営化と治療を受けるための渡航、いわゆる医療観光の促進で、フィリピン国民の最低限の公衆衛生ニーズを満たすことと正反対だ」と話す。
政権与党の自由党は選挙戦で政府予算の少なくとも5%を公衆衛生に充て、保健サービス充実のためにインフラの整備を進めると訴えたはずだ。
一方、オナ長官については、まだ十分に調査がなされていないとも言える。大統領が調査チームを送り精査すれば驚くべきニュースが判明するだろう。同長官は公開入札なしで同研究所敷地内に施設を建設、談合の容疑で行政監察院に告発されている。また、彼が率いた腎移植プログラムでは比人患者よりも裕福な外国人が優遇されているという。事実が判明すれば大統領も自身に問うだろう。なぜオナ氏なのかと。(6日・タイムズ、ダン・マリアノ氏)