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4月19日のまにら新聞から

安全な専用機導入を

[ 694字|2010.4.19|社会 (society)|新聞論調 ]

ポーランド大統領機墜落

 ポーランドのカチンスキ大統領夫妻らを乗せた政府専用機が墜落した。専用機は老朽化したロシア製旅客機。ロシア西部の森林に落ち、大統領夫妻ら乗客乗員全員が帰らぬ人となった。

 悲報に接して、「大統領夫妻はなぜ同じ飛行機に乗っていたのか」と疑問に思った。なぜなら、先進各国では通常、大統領と夫人は別々の飛行機で移動するためだ。フィリピンでも、保有航空機が比較的豊富だった1970年代まで、歴代大統領と夫人は別々の飛行機に乗った。

 しかし、今では比空軍将官の人数が空軍保有機の機体数を上回るありさま。空軍や比の民間航空会社が保有機の充実、更新を進めようとしない中、ポーランド大統領夫妻の悲劇は、決して「対岸の火事」ではない。

 実際、1990年代にはラモス大統領=当時=の乗る大統領専用機が再三、機体トラブルを起こした。また、大統領に同行する大統領府高官らは「空飛ぶひつぎ」とやゆされる古い機種に乗せられ、嵐の中を飛行中にコックピットのドアが落下し、積み荷が海上に散乱するといった事故にも見舞われた。エストラダ前大統領は、航空機トラブルに遭遇しなかったようだが、これは幸運としか言いようがない。

 1957年、墜落事故でマグサイサイ大統領を失った経験を持つわが国としては、大統領の生命を「運」に委ねるのではなく、安全な大統領専用機を早急に導入すべきだ。高価な航空機購入に反対する意見は必ず出るが、一国の政府にとって安全な専用機確保は「必要経費」と言える。なぜなら、大統領搭乗機の墜落は、国民から指導者を突然奪い、国情を混とんとした状態に陥らせるためだ。(12日・マラヤ、ロメオ・リム氏)

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