麻薬撲滅戦争に伴う超法規的殺害を巡る「人道に対する罪」の容疑で国際刑事裁判所(ICC、本部オランダ・ハーグ)に訴追されハーグで収監されているドゥテルテ前大統領の弁護団が被告の高齢などを理由に一時的釈放を求めている問題で、被害者遺族の支援に当たるICC登録弁護士のクリスティーナ・コンティ氏がこのほど、前大統領が釈放された場合に受け入れる第3国候補として名前の挙がっていたオーストラリアとベルギーがそれぞれ受け入れを拒否したことを明らかにした。28日付け英字紙マニラスタンダード電子版が報じた。
ICCの構成や管轄犯罪、手続きなどを規定する国際条約のローマ規程にオーストラリアは加盟しているが、最近、ICCに対して前大統領が釈放された場合にホストとして受け入れるつもりはないとの立場を通告したという。
これについてサラ・ドゥテルテ副大統領は27日に発表した声明で、「オーストラリア政府に父親の受け入れを正式に要請したことはない」と強調した。サラ氏は6月下旬に豪州メルボルンを訪問しており、父親の釈放後の受け入れを要請するために訪問した可能性があると指摘されていた。
また、コンティ氏によると、ベルギー政府も最近受け入れ要請を拒否しており、現在のところ、前大統領が釈放された場合にその身柄を受け入れることに合意した国はまだないとみられている。サラ氏は最近、外遊を続けており、ベルギーにも足を延ばしていた。
コンティ弁護士は、ICCが過去に、大量虐殺や人道に対する罪などの容疑で収監された者が一時的な釈放を求めた場合でも総体的に拒否してきており、入院などのケースを除いて身柄を釈放することはほぼないと紹介している。 (澤田公伸)