米ヘグセス戦争長官は31日、マレーシア・クアラルンプールでテオドロ国防相と会談し、新組織「タスクフォース・フィリピン」の立ち上げを発表した。同タスクフォースについてヘグセス氏は「協力のさらなる一歩」と強調。南シナ海で両軍の相互運用性、軍事演習、有事への即応力を高め、「決然と災害および攻撃的行動への抑止力を再構築するものだ」と説明した。さらに、「比米同盟即応アクションプラン」を完成させたことを発表した。
同長官は「ここまで比米同盟が強くなったことはない」と同盟の強化を強調した上で、「南シナ海、特に最近のスカボロー礁での中国による威圧的行動への懸念を共有している」と説明。比中で小競り合いの続く南シナ海問題が「有事」に発展する可能性を念頭に、「私は改めて比米相互防衛条約(MDT)が両国にとって極めて重要だと伝えた。同条約は南シナ海のどこでも両軍に対し適用される」と中国をけん制。「対立は望まないが、当然それぞれの国益を個別的に、そして相互的に守る準備ができている」と述べた。
テオドロ国防相は「比米同盟は孤立しているとみられるべきではない。これを基礎としてより多くの同盟国を追加できる」と指摘。「(南シナ海における)航行の自由、主権と領土一体性への尊重は両国だけでなく、フィリピンの地理上の戦略的重要性、経済サプライチェーン(供給網)と安全保障環境を考えると全世界にとって重要だ」とし、米国との防衛協力を多国間連携に発展させたい意向を強調した。
ミニラテラル(少数国間連携)を構築する方針は米バイデン前大統領政権期に推し進められたが、トランプ大統領は必ずしも前向きではないとされている。両者は東南アジア諸国連合(ASEAN)拡大国防相会議に合わせて二国間会談を実施。ヘグセス戦争長官とテオドロ国防長官は、今年4回会談している。(竹下友章)




