ドゥテルテ氏が国際刑事裁判所(ICC)に勾留されたことを受け、比に5人いるICCの登録弁護士の1人、ジョエル・プトゥアン氏は17日、外国人特派員協会(FOCAP)のオンライン会見に応じた。その中で同弁護士は、ドゥテルテ氏の共犯として「9人以上が特定されており、逮捕状が発付される可能性がある」と明らかにした。また、SNS上で偽情報を含むドゥテルテ氏に有利な情報が拡散されていることついて、「ICC判事はドゥテルテ陣営の勢力があまりにも強く、ICCですら嫌がらせや、操作の試みにさらされる可能性があると認識するだろう」とし「ドゥテルテ氏の保釈申し立てに対し、かえって悪影響を与える可能性がある」と指摘した。
同弁護士は9月23日に公判が始まるまでに、「ドゥテルテ陣営は逮捕状の有効性に対し異議を申し立てる権利がある」と解説。「フィリピンへのICCの司法管轄に異議を申し立て、保釈を申請することができる」とした。また、ICC検察官はドゥテルテ氏の弁護側に証拠を開示する義務を負うとした。
また被害者への賠償については、「ICCの訴追内容で言及された43件の殺人事件は刑事罰を求める証拠として使用されるが、賠償は別の問題であり、(数千人~3万人いるとされる)被害者全てに対し賠償が検討される」とした。また、起訴の確認後は、有罪判決が出る前であっても「被害者は政府を通じて、賠償のためにドゥテルテ氏の資産の凍結を申し立てることができる」とした。
比政府がICCに協力しないとしている点については「ドゥテルテ氏がこれまで容疑者の殺害を公言しており、彼自身の発言が証拠の一つとなっている」とし、「ICC検察は比政府の公開文書から証拠として使用しており、特に比政府が協力しなくても訴訟を進められる」とした。
▽被害者たたき
超法規的殺害の被害者らの団体「ライズアップ」は17日、声明を発表。「ここ数日、憎悪表現や脅迫、嫌がらせが急増しており、特に愛する人の殺害について声を上げている女性を標的にしている。インターネットは再び、ドゥテルテへの支持を集めるために意図的に作られた誤解を招く虚偽の情報であふれはじめた」とし、「その中には被害者の家族の人格攻撃に訴える者もいる。またICCの判事さえ攻撃している」と訴えた。
その上で「こうしたケースの多さは、ドゥテルテ自身と彼がもたらした憎悪と暴力の文化が、あえて声を上げたり証言したりする被害者にとって依然として脅威であることの明白な証拠」とし、ドゥテルテ氏の保釈に反対することを改めて表明した。 (竹下友章)