首都圏マンダルーヨン市の商業施設シャングリラ・プラザで22~23日、国際交流基金マニラ日本文化センター(JFM)主催の第52回「にほんごフィエスタ2025」が開かれた。22日にスピーチコンテスト本選が行われ、フィリピン小噺祭りがシアターで開催されたほか、2階のグランドアトリウムでは祇園東町の舞妓・芸妓衆による舞踊が披露された。また、23日に日本文化および日本語に関連するステージパフォーマンスやブース展示も開催された。
22日のプログラム前半の日本語スピーチコンテストでは、まずSHiN Japanese Language and Training Corporation代表のマリアカミル・クルズさんにJFMの鈴木勉所長から感謝状が贈呈された。クルズさん(フィリピン大ディリマン校言語学科卒業)は、日本語を活かした勤務経験を積み、日本でMBAを取得した後、同校を2019年に設立した。
スピーチコンテストは首都圏のほかラグナ、セブ両州、ダバオ市から計6人が決勝に進んだ。出場者らは日本大使館一等書記官で広報文化センターの松田茂浩所長、マニラ日本人会の岡本和典会長、JFMの鈴木勉所長らと日本語教育専門家が審査する中、日本語のスピーチ力を競った。
コンテストの応募資格は18歳以上のフィリピン人だが、決勝進出者ともなるとほとんど日本人と変わらないスピーチレベルだった。
選考の結果、フィリピン大3年生でコンピュータサイエンスを学ぶヨハネス・タマヨさんが優勝し、「訪日研修ツアー」を勝ち取った。
タマヨさんは昨年のスピーチコンテストを会場で見たことで刺激を受け、今年のコンテスト出場を決め、本や動画サイトなどで日本語を独学。担当教官から勧められた神戸大の留学プログラムに応募し合格した。この体験を通じて、タマヨさんは「将来は教育分野の仕事に就きたい」と語った。
スピーチ後半では「もしためらっているなら、経験がなくても挑戦して下さい。準備ができるのを待っていたら一生待つことになります」と聴衆に語りかけた。
▽聴衆も比全土から
スピーチコンテストの会場には、時間前から多くの入場希望者が並んだ。日本語教育プログラムを実施している公立中等学校に通う学生や大学で日本語を勉強している学生らも観客として参加。当初、入場は事前申し込み者に限っていたが希望者が予想外に多く、席が足らなくなるほどの盛況だった。
JFMによると、同センターが直接的に日本語教員育成支援を行っている中等教育機関では、現在7810人の学生が日本語を学んでおり、長年にわたる地道な日本語教育振興活動がフィリピンでも確実に実を結んでいる。また、比の若者たちの間では日本のアニメが人気で、日本語学習熱の高まりに一役買っているようだ。 (青柳一臣)