司法弁護評議会(JBC)による次期最高裁長官の候補者の面接が、テレビ中継される。JBCが人選の透明性を高めようとする動きのように見えるが、実際にはそうではない。
個々のJBCメンバーの新長官候補を選ぶ投票行動を国民に公開しようとしないからだ。最高裁でさえ、ずいぶん昔から、訴訟について個々の判事がどのような判断をしたのか、公表しているのだ。議会も各議員の投票行動を公開している。JBCだけがメンバーの投票を公開しないのはおかしいのではないか。
投票の公開を求める理由は、委員の何人が大統領府が望む新長官候補に票を投じたか、分かるからだ。その投票行動の正当性を問うこともできる。
JBCが次期候補者の受け付け締め切りを2週間延長したことにも首をかしげざるを得ない。より多くの候補者に機会を与えるため、という延長理由も納得できない。当初の締め切りだった18日までに、40人が立候補しており、その多くが最高裁長官候補として指名されるのがふさわしくない人物だからだ。そもそも、延長を受けて駆け込み立候補するのであれば、自薦、他薦を問わず、当初の締め切りに間に合わせるべきだろう。
JBCが次期長官の人選を正しく行おうとするならば、2週間後に良い候補者が出てくると思うのは勘違いだ。
このようなJBCの動きはフィリピンの司法機関のトップである最高裁長官をあざけり笑い、その品位を傷つけていると言わざるを得ない。
恐らくアキノ大統領が立候補の延期を希望し、JBCがそれを受け入れたということだろう。最高裁に対する信頼の失墜は目を覆いたくなるほどだ。その責任はアキノ大統領にある。(20日・トリビューン)