今年一月に死去した草野靖夫・じゃかるた新聞初代編集長を偲(しの)ぶ会が5月中旬、東京・日比谷の日本プレスセンタービル内で開かれた。会場には記者人生の原点・毎日新聞の同僚や後輩たちに加え、海外支局で特ダネを競った同業他社の友人記者、じゃかるた新聞で草野さんの薫陶を受けた若手記者ら総勢100人が集まり、それぞれの披露する「人間草野」が、会を大いに盛り上げた。
草野さんは1980年代以降、東南アジア地域を精力的に飛び回り、同地域の「現代史」をことごとく目撃した稀有な外信記者となった。当時の取材姿を撮った写真が会場の壁に飾られる中、「草野さんの一番弟子」を誇る現役の毎日新聞編集委員は、瑣事(さじ)にこだわらず、懐の深い、人間味ある熱い取材を信条にしていた草野さんをユーモアを交えて紹介、会場を笑いで包み込んだ。
「ブンガワン・ソロ」は草野さんが愛したインドネシアの名曲。参加者全員が丸顔に笑みをたたえる草野さんの遺影に向かって歌声を響かせ、同時に72歳の「若さ」で別れを告げた草野さんの無念さにも思いを深めた。最後に「草野イズム」を引き継ぐ上野太郎・現編集長が、草野さんの「分身」であるじゃかるた新聞のさらなる成長を目指すと宣言。参加者から温かい拍手と声援が送られる中、偲ぶ会は幕を閉じた。(道)