コロナ前最高裁長官の弾劾裁判で陪審員を務めた上院議員は言う。弾劾裁判は、真実に基づき権力を効率的に行使し、状況に応じて慎重かつ迅速に行った、と。その結果、議員23人のうち20人が「有罪」と判断し、圧倒的多数でコロナ長官の罷免が決定した。
前長官は入院先の病院から「同等な政府機関の一つである議会による有罪判決を受け入れる」と声明を出した。
この裁判は、透明性と説明責任、より公正な政府へ、という大義名分を掲げて始まった。グチェレス行政監察院長(当時)が辞任してから1年、コロナ長官が罷免されたのを受けて、これらの目的達成に精力的に取り組まなければならない。
アキノ大統領は以前、グチェレス院長とコロナ長官の2人が、汚職撲滅とグッドガバナンス(良き統治)にとって大きな阻害要因になっていると指摘した。2人が去った今、大統領の政策目標に国民の期待が高まっている。
現政権は、国民的和解の必要性も見過ごしてはいけない。弾劾裁判は国論を分けた。行政府が最高裁の独立性を脅かそうとしているという批判を、完全に払しょくしなければならない。
最高裁もこれから、全ての判決がいかなる人物への便宜供与とも無縁で、公正に判断されたことを自ら示し、その機能を強化しなければならない。
我が国は、マルコス元大統領による戒厳令、アキノ政変(エドサ革命)による民主主義の回復、大統領の亡命や退陣劇を経験し、存続してきた。弾劾成立後も共和国は生き残るだろう。
これらの歴史的激動をきっかけに、政府機関が弱体化する可能性はある。しかしそれは、強力でより良い国家にするチャンスでもある。より良いフィリピンの始まりとして、44日間の弾劾裁判を振り返りたい。(30日・スター)