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新聞論調

2012/6/4

魔女狩りと同じ2千年前に逆戻り

陪審員(上院議員)の大半が、コロナ最高裁長官の巨額預金の非公表を断罪し、有罪評決を出した。彼らは、現政権と行動を共にする政治的意志に基づいて評決を出した。

 彼らの評決言い渡しは、国民を満足させるためで、無実を知りつつキリストを群集に引き渡したローマ皇帝、ポンテオ・ピラトのように見えた。

 議員3人が、コロナ長官の資産の未記載は違法行為ではないと無罪評決を出した。国民からは不評を買うにせよ、正しい判断だ。大半の上院議員が「コロナ長官は有罪だ」という世論に基づき、有罪の評決をしたと認めている。弾劾開始から5カ月近く、アキノ大統領と、センセーショナルなメディアがこの世論を醸成した。

 無罪評決を言い渡した1人、ジョーカー・アロヨ議員は、この裁判について法的根拠なく有罪判決を出す私権剥奪法に当たる可能性を指摘した。説得力のある証拠抜きで有罪とすれば、憲法違反に当たるとも主張した。

 これは魔術を使ったとして、有罪判決を出した中世の裁判と変わらない。魔女狩りは大衆リンチだった。 

 エンリレ議長も当初、根拠不十分のまま評決を出すことに警告を発していた。アロヨ議員は、根拠に基づかない評決が行われれば、陪審員も加害者の一人になってしまう可能性を危惧し「(この弾劾は)正義でも、政治でも、法でもない。憲法でもない。1972年の戒厳令のような、ただのむき出しの権力だ」と苦言を呈した。

 世論に寄りかかった政治裁判がいまだ行われている。弾劾裁判が、悪臭を放つ紛れもない不正義であった事実を認めよう。神の子キリストは民衆の感情で、はりつけの刑に処された。フィリピンは2千年前に逆戻りしたようだ。(31日・トリビューン)

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