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ハロハロ

2012/1/9 社会

 正月早々、古い友人の訃報が届いた。隣国インドネシアで邦字紙「じゃかるた新聞」を創刊、長らく編集長を務めた草野靖夫さん(72)。ロイター通信、毎日新聞で記者として活躍した後、永住の地をかつて特派員生活を送ったことがあるジャカルタに求めた。

 初めて草野さんに会ったのは、ロッキード事件の時である。互いに東京から米国に長期出張し、ロサンゼルスで日米両国の検事や判事、ロッキード社の幹部を追いかけ回し、しのぎを削った。ロサンゼルス地裁の担当判事が好人物で、毎朝の自宅近くの散歩には、日本人記者がぞろぞろ後をついて歩き、禅問答を繰り返した。その先駆けは草野さんだったはずである。アイデアマンで、隠し事ができない性格だった。

 あれから35年。昨夏にジャカルタを訪ね再会した。抗がん剤の副作用に苦しみながら、編集現場で「若者を一人前の記者に育てるのが生き甲斐」を実践する姿を目の当たりにした。マニラ特派員時代のマルコス政権の崩壊、商社支店長誘拐事件、アジアで現地邦字紙をとの長年の夢││。社屋の1室で、夜更けまで語り合ったのが最後になった。昨年末、東京・築地のがんセンターに彼を見舞った関係者の話では「車椅子ででもジャカルタへ戻る。マニラにも寄りたい」と話していたという。生涯、ニュース現場にこだわり続けたジャーナリストだった。合掌。(邦)

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