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「口は災いのもと」か

2004/2/2 社会

寡黙な野党候補ポー氏

 米国のクーリッジ第三十代大統領は無口なことで知られたが、この大統領に匹敵するような無口で寡黙な大統領候補がフィリピンにいる。出馬表明時の言葉は「わたしはフェルナンド・ポー。大統領選に出馬する」。大統領選に打って出ようとする人物の第一声としては歴史的短さだった。野党統一候補に選ばれた際のコメントも「(統一候補指名を)受けるかどうかは後日明らかにする」と素っ気なかった。

 その「寡黙さ」はその後も一貫している。ポー氏が発した言葉を順に紹介する。

 「力を一つに合わせれば、輝かしいミンダナオの将来を開くことができる」(十二月十六日)▽「野党統一候補に選ばれたことを誇りに思う」(同二十三日)▽「(自身の国籍問題で)わたしは比人」(一月十日)▽「わたしは操り人形ではない。エストラダ前大統領の再来でもない。目の前の大いなる課題と真剣に向き合うだけ」(同十五日)▽「(財界関係者との会合で)政府に対する国民の信頼を回復する」(同二十一日)

 ご覧の通り、ポー氏のコメントは一般的な内容の域を出ない。選挙運動が正式に解禁されていないことを考慮して、公約や政策への言及を意識的に避けているのかもしれないが、われわれには我が身の保全のため言葉数を最小限にとどめているように思えてならない。

 「俳優ポー」として有権者に手を振り続ける限り、間違いは起こり得ないだろう。ただ、ポー氏は大統領候補として国民の前にいる。台本を読み続けるマネキンであってはならない。有権者には、候補が何を考え国をどう導くのかを知る権利があるのだ。マスコミや学識経験者にも沈黙を破らせ、多くを語らせる義務がある。(1月27日・インクワイアラー)

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