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「ゴールデンゲイ」の家

2001/1/14 社会

同性愛愛好者の老人ホーム

 パサイ市のFBハリソン通りを一本入った路地に、「ゴールデンゲイの家」と書かれた一軒家がある。同性愛愛好者の老人ホームで、四十九歳から六十七歳までの男性七人と女性三人が身を寄せている。

 「私たちは『かごの外の鳥』。ここでは、だれに気を使うことなく自由でいられる」

 入居者の過去はそれぞれ違うが、いずれも同性愛愛好者という理由で家族から冷たい扱いを受け続けたり、家庭生活がうまくいかず家を出た人たちだ。中には家族から「帰ってきて」と言われても居心地が良くて帰らない男性もいる。

 フィリピンで初めてといわれる老人ホームだけに、多いときにはテレビ局の取材チームや課外授業で大学生が週三回も訪れるという。

 太平洋戦争時代に日本軍の性的奴隷にされたと名乗り出て話題になったウォルター・マルコーバさん(76)もここの住人。彼の人生を描いた映画「マルコーバ︱︱コンフォートゲイ(従軍慰安夫)」は、昨年末に公開されたばかりだ。

 「みんな心に傷を負っているから、お互いの境遇を分かり合えるんだ。ここではどんなことでも遠慮なく口にできる」とマルコーバさん。「この家ではみんな家族。恋人は外にいる」と言う。

 素っぴんの女性。そして、まゆを細く整え薄くファンデーションを塗った男性。不思議な共存だ。

 一九九〇年、自宅近くの下宿屋に三人の同性愛愛好男性が暮らしているのを、パサイ市のフスト・フスト市議が知った。同性愛愛愛好者の社会的権利を認知するよう訴えていた同市議が三人の面倒を見始めた。それがきっかけで入居希望者が増え、九八年から五階建ての同市議宅の一部が老人ホームになった。

 寝室は歩いて二分のところにある同市議の別宅にあり、男性の部屋には二段になったダブルベッドが二つあり、一つのベッドに二人ずつ眠る。

 入居代は無料。食事代や医療費、交通費もすべて同議員が負担しているという。入居条件は五十歳以上で、同市議が「面接」して入居を決める。

 「人生を楽しむ秘けつは若い恋人を持つこと」と自負するマルコーバさんには十代と二十代の恋人が三人いるそうで、日替わりのデートを楽しんでいる。 

 「死ぬまでここで楽しく暮らしたい」。家族や社会とのしがらみから解放された彼らの共通の思いだ。(栗田珠希)

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