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「自分の言語が誰かのスペシャルに」 日本語パートナーズ19人が到着

2025/8/14 社会
遠藤和也日本国大使(前列中央)を表敬訪問した国際交流基金のフィリピン派遣日本語パートナーズ12期と同基金マニラ日本文化センターの鈴木勉所長(前列左)=8日、首都圏パサイ市の日本国大使館で田岡風香撮影

国際交流基金の日本語パートナーズ事業のフィリピン派遣第12期生が、日本国大使館にて遠藤和也大使を表敬訪問した

国際交流基金がアジア各地に派遣している日本語パートナーズ(NP)事業のフィリピン派遣第12期が8日、首都圏パサイ市の日本国大使館で、遠藤和也大使を表敬訪問した。昨年度の10人から19人へと倍増したNPは、首都圏やその近郊、バギオ市やセブなど中部ビサヤ地域、ダバオ市の中等教育機関で向こう7カ月半、日本語の授業に加わり、フィリピン人日本語教員の授業補助や日本文化紹介などを行う予定。日本全国から応募し、大阪で5月から6月にかけて1カ月近くの研修を経たNP19人は、6日にマニラ空港に到着した。国際交流基金マニラ日本文化センター(JFM)で一週間の派遣前研修を終えた後、任地へと派遣される。大使表敬訪問はその期間中の恒例行事となっている。

 スーツ姿のNP19人が勢ぞろいする中、JFMの鈴木勉所長は冒頭で遠藤大使に、今年のNP配属先や人数など詳細を伝えた。バギオが初の派遣先であり、久しく送られていなかったダバオ市へのNP派遣が実現したこと、昨年度は10人全員が女性だったが、今回は男性5人も加わり、シニア、中堅、20代の学生まで、バラエティーに富んだ派遣であることにも触れた。また、今年度から「日本語教育を行っている高校が17リージョン(地域)」に広がり、将来的には「(BARMMを加えた)全リージョンに派遣できたら」との意気込みも語った。

 その後、NP一人一人の自己紹介を経て、遠藤大使は「みなさん非常に明るく、楽しく、笑顔で仕事をされそうな雰囲気が漂ってますね」と笑顔であいさつ。「日本語パートナーズのような形でまさに将来の世代を育てていく地道な活動が、今の日本とフィリピンとの間の関係を支えてきている」と同事業の意義を強調した。同大使は比日の様々な分野での友好的な二国間関係が継続している現状を紹介したうえで、「フィリピンにおける日本への関心、日本に対する信頼は、みなさんが思う以上に強いもの」であり、「それをより大きな形で育てていくことが、私たちの重要な仕事。みなさんには、それぞれの地でその一端を担っていただく形になると思う」と述べた。そのうえで「今回それぞれの地で培っていただける『友情』がその後も続いていく、そんな7カ月半になるように」と激励した。

 ▽サッカーの分野を経て

 群馬出身で26年間保健体育の教員として勤務してきた大塚達夫さん(61)は、ブラカン州サンホセデルモンテ市の高校(日本の中学1年~高校1年に相当するジュニアハイ)2校に派遣される。「元々海外で働きたい夢を持っていた」大塚さんがNP事業を知ったのは5年前。退職を機に初めて応募した。ブラジルへのサッカー留学経験を持つ大塚さんは、23歳ぐらいまで実業団でサッカーを続け、筑波大でサッカーコーチを務めた経験を持つ。教員となって私立高で3年、以降は公立校で同時にサッカー指導も続けてきた。群馬ではブラジル人学校でもサッカーを教え、また、フィリピンをはじめ、東南アジアでの指導経験も経るなど、サッカー熱が人一倍強い。

 かつてブラジルの留学先で出会った人から、「サッカーを勉強しに来るなんてバカだ。サッカーはパッションだ」と言われ、衝撃を受けた。その言葉は大塚さんにとっていわば人生の指針ともなった。今大塚さんのパッションは言語教育に向く。「言語を身に着けることによって世界が広がっていく」ことに新たな可能性を見出している。一方で、英語の勉強は続けているが、「まだ流ちょうには話せない。この長い期間でいろんなコミュニケーションを図りながら、日本語教育にチャレンジしていきたい」と意気込む。「コミュニケーションという意味では一緒に活動したり、身体を動かしたりも重要」と元体育教師の強みを生かした交流の実践を目指す。

 ▽大学を一時休学して

 神奈川出身で、現在東京にある大学の総合グローバル学部で国際協力論を学ぶ藤﨑まどかさん(21)は、4年次を一年休学する形で、NP事業に参加した。ボホール州パングラオ町にある高校に赴任する。大学1年次にセブ島でのボランティアツアーに加わったのが比との出会い。その一環でスラムの子どもたちに日本語を教えたことが、言語教育に興味を持つきっかけとなった。元々は発展途上国での国際協力に関心を持っていたが、「自分にとって当たり前の言語が誰かにとってこんなに楽しくて、スペシャルなものになるんだなということを知った」と藤﨑さん。オーストラリアでの英語留学は3カ月間だが、日本でも英語に親しんできたことから、かなり流ちょうだ。

 初めてのマニラは「人が多くて混んでいてセブとは雰囲気が違う」印象を持った。空港からのバンの運転手さんにお勧めを聞いて、「さっそくみんなでジョリビーへ」。ボホール島への赴任と知った時、検索で「出てきた写真がまさに『島』の感じで、自分は虫も触れないし、どうしようと思った」と笑う。5歳からクラシックバレエを続けている藤﨑さんは、調べる内に島内のヨガ教室を見つけるなど、楽しみが増えてきた。「こんな異国の地に長く滞在できることはめったにない経験、友達をたくさん作りたい」と目を輝かせた。(田岡風香)

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