参議院本会議は6日、自衛隊とフィリピン国軍の部隊員らの相互訪問を円滑にする部隊間協力円滑化協定(RAA)の批准に向けた採決を行い、賛成多数で承認した。RAAは2024年7月に当時の上川陽子外相とテオドロ国防相がマルコス大統領立ち合いのもと署名し、同年12月に比上院で批准、日本の国会における批准を受けて正式に発効する。今後、フィリピンで行われる大規模な比米合同軍事演習などに日本の自衛隊が正式に参加することが可能となり、日比がいわゆる「準同盟関係」の構築に向けた新たな局面に入る。
同日の参議院本会議で行われたRAAに関する採決では、自民・公明両党や立憲民主党、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決され、承認された。日本共産党とれいわ新選組などは反対した。
「円滑化協定」は、自衛隊と他の国の軍隊との相互訪問を円滑に行うため、共同訓練の際の武器・弾薬の取扱いや、事件・事故が発生した場合の裁判権などをあらかじめ決めておく取り決めで、日本政府はこれまで英国やオーストラリアと同様な協定を結んでいる。フィリピン側も同様な訪問軍地位協定(VFA)を米国とオーストラリア政府の間でそれぞれ締結している。
参議院でのRAA承認を受けて、ガルシア=アルバノ駐日フィリピン大使は6日に声明を発表し、「これは比日両国間の信頼と耐え抜いてきた友好関係の証左であり、国際法に基づく法治ベースの秩序を促進する上でお互いに緊密に協力し合うための我々の能力を高めるものである」と歓迎した。
また、国防省も声明を出し、「RAAにより比日は国防や安全保障分野でより緊密に協力し合うことが可能となる」とした上で「自由で開かれたインド太平洋地域の確立に向けた両国の貢献を可能とする、信頼に足る防衛関係の構築に向けた一歩である」と南シナ海における中国の海洋進出を念頭に置いた同志国との安全保障分野における連携強化に果たす役割に期待感を示した。
岩屋毅外相も6日の記者会見で、フィリピンが海上交通路(シーレーン)の要衝に位置していると指摘し、「インド太平洋の厳しい安全保障環境を踏まえると日本とフィリピンの安全保障・防衛協力のさらなる深化はとても重要だ」と強調している。
参院本会議では同日、自衛隊とイタリア軍が燃料などの物資を融通し合う「物品役務相互提供協定(ACSA)」も承認されている。(澤田公伸)