第2次トランプ政権で外交のかじを取る国務長官に就任したマルコ・ルビオ氏は米時間22日、フィリピンのマナロ外相と電話会談を行った。米国務省の発表によると、両者は「南シナ海での中国による危険で不安定化をもたらす行動を含む、双方の懸念」について議論。その中でルビオ氏は「中国の振る舞いは地域の平和と安定を損ない、国際法と一致しない」との米国の立場を伝え、比米相互防衛条約(MDT)に基づく米国の「鉄壁のコミットメント」を強調した。両者は安全保障協力の強化、相互繁栄のための経済連携の拡大、地域的協力の深化の方途について意見を交換した。
「南シナ海における中国の権益主張は違法」とする公式見解を米国が初めて打ち出したのは、第1次トランプ政権のポンペオ国務長官(当時)。ルビオ氏はこうした立場を引き継ぐとともに、バイデン政権下で進んだ比米安保協力をさらに推し進める姿勢を、明確に打ち出した形だ。ルビオ氏は対中強行派として知られ、就任前に上院の公聴会で、中国の南シナ海への海洋進出が比中間の武力衝突に発展した場合に「われわれは比に対する義務を果たさなければならなくなる」と述べ、MDT発動を強く示唆していた。
マナロ外相は自身のSNSで「第72代米国務長官のルビオ氏と、インド太平洋地域の繁栄と安全保障にとっての比米同盟の重要性を議論した」と報告。「比米関係におけるポジティブな軌道とモーメンタム(勢い)を維持し、諸課題に対応するためにルビオ長官、そして彼のチームと協力できることを楽しみにしている」とした。
ルビオ氏は米時間21日、就任後初の外交として、米ワシントンで開催された日米豪印4カ国戦略対話「QUAD(クアッド)」に参加。その際に出された共同声明ではインド太平洋地域情勢に関し、中国などを念頭に「力または威圧により現状変更を試みるいかなる一方的な行動にも強く反対する」ことが表明された。
さらにその後、訪米中の岩屋毅外相と会談。両者は日米同盟の抑止力・対応力を一層強化し、日米同盟を新たな高みに引き上げるとともに、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向け協力することを確認。また、比日米、日米豪印、日米韓などの同志国間連携をさらに強化することで一致した。(竹下友章)