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比の海洋権益保護に有効 EDCA施設増設

2023/2/6 政治
センティーノ比国軍参謀長(左)とオースティン米国防長官(右)=首都圏ケソン市国軍本部で2日、ロビーナ・アシド撮影

合計9カ所への増設が決まった米軍利用可能施設について、国防相が南シナ海における比米合同活動で活用されることを示唆

 マルコス大統領が2日に承認した比米防衛協力強化協定=EDCA、2014年締結=に基づく米軍利用可能施設の増設について、ガルベス国防相は4日、国内進歩派団体から懸念が呈されていることを受け、「EDCAとその実施や国軍近代化計画、比米同盟は、緊急事態に対応し、われわれの海洋における権益と環境とを守るための能力と協力関係を高める」とする声明を発表した。

 また、「EDCAは経済投資、(比米)協同海洋保護、海洋天然資源の保全を推進することができ、誰の懸念にもならない」と明言。現状の5施設から9施設に増加する同施設が、南シナ海における比米合同活動に活用されることを実質的に認めた格好だ。

 EDCAは原則として合同訓練と人道支援・災害救援を目的とするが、「その他の両国が合意した活動」も認める。また、具体的な活動として艦船への給油、装備・軍隊の展開などを明記。ドゥテルテ政権時に計画が中断し、3日に再開が発表された南シナ海比米合同哨戒計画はまだその詳細が明らかにされていないが、合同哨戒にEDCA施設が活用される可能性も示唆された。

 ▽比日米3国協定の道も

 5日の英字紙スター電子版によると、外交シンクタンクの「パシフィック・フォーラム・インターナショナル」のマーク・マナンタン氏=サイバー防衛・重要技術担当責任者=は、8日~12日に予定される大統領訪日で、比日間で兵站(へいたん)の支援を行う「物品役務相互提供協定」(ACSA)や両国部隊が相互訪問する際の手続き・法的地位を定める「円滑化協定」(RAA)を「比日両首脳が議論する見通しだ」とした上で、安保に関する「比日米3カ国協定作りが進む可能性もある」と指摘した。

 同氏はまた、「限られた外交・防衛リソース、米中との複雑な政治・経済・安保関係を考えると、比はもっと実用的で先進的な外交方針を取る必要がある」と説明。EDCA施設の機能について「災害対応だけでなく、サイバーセキュリティや対テロ戦争、非正規戦や情報戦を組み合わせた『ハイブリッド戦争』においても比の助けとなる」とした。

 人権団体カラパタンはEDCA施設が対共産主義勢力との武力紛争の支援に利用される可能性に懸念を表明している。

 比の安保問題を調査研究する国益基金(FNI)のフリオ・アマドール臨時代表は、台湾有事との関係を指摘。「台湾海峡の両岸の現状を維持するためには、米国は西フィリピン海(南シナ海)の安全保障上の懸念について比側に立つという信頼を構築しなくてはならない」と述べ、米国が台湾海峡に対し比国内の軍事施設から「にらみをきかせる」ための条件として、比の領土問題への関与を強める必要性を強調した。

 

 ▽上院で賛意表明

 ガルベス国防相は5日、上院のトレンティーノ、エスクデロ、ガチャリアン議員らと面会し、EDCA施設の増設と比米合同哨戒計画について支持を得られたことを発表。

 トレンティーノ議員は「米国のような信頼できる同盟国との防衛協力の『アップデート』に賛成だ」と明言。「憲法に基づき、国益に寄与する限り、EDCAは明らかに良いモデルだ」との見解を表明した。(竹下友章)

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