フィリピン陸軍のデマアラ報道官は19日、定例記者会見で、来年の比米陸軍間軍事演習「サラクニブ(盾)」に自衛隊が正式に参加する計画であることを発表した。同報道官は「これが日本が正式参加する最初の活動となるだろう」と説明。サラクニブは比最大の年次合同軍事演習「バリカタン」の前哨演習。来月11月に控える比日間の訪問部隊間協力円滑化協定(RAA)の発効後であり、比本土内では初めて自衛隊が本格参加する演習になる可能性もある。
サラクニブを巡っては、昨年演習期間中に米軍が中射程ミサイル「タイフォン」を持ち込み、中国から強い反発を買っている。来年のサラクニブでもタイフォンが訓練使用されるかについてデマアラ氏は「それについては何も議論されていない」とし「われわれが現在行っているのは計画に関する協議だ」とした。 「自衛隊は装備品を持ち込むか」との質問にデマアラ報道官は「まだ議論されていない」とし、自衛隊が派遣する要因の数も決まっていないとした。
デマアラ報道官によると、比と訪問軍地位協定(VFA)を締結しているオーストラリアも参加予定。「スクワッド」と通称される比日米豪の安全保障協力が2023年6月の4カ国国防相会談以来急速に進展しており、昨年4月には初の4カ国合同での「海上共同活動」を南シナ海で実施。来年のサラクニブでも比日米豪4カ国の部隊が同時参加する演習が実現する可能性もある。
多国間演習化する来年のサラクニブについては、「演習の名称は変わらないが、内容は変わる」とし「人員、情報、指揮などあらゆる分野が重視され、また比海兵隊も参加する」とした。
陸上自衛隊によると、今月7日から8日の間に比で開かれた「サラクニブ26陸軍主観懇談」に、第5地対艦ミサイル連隊長を務めた秋山洋三陸上幕僚監部訓練課長(1佐)が参加し、サラクニブ26の方向性について意見交換を行った。自衛隊は2023年のサラクニブに初めてオブザーバーとして参加している。
来年のサラクニブおよびバリカタンへの自衛隊の参加について、在比日本国大使館は「関係国の防衛当局間で訓練の詳細等について議論が行われている段階であり、自衛隊の参加予定やRAAの適用有無については現時点で回答を差し控える」とした。(竹下友章)