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5月15日のまにら新聞から

敗北し絶望する若者たちへ ロブレド支持者のこれから

[ 634字|2022.5.15|政治 (politics)|新聞論調 ]

 新型コロナの規制で行き場のないエネルギーを持て余し、無気力にさいなまれた多くの若者が、レニー・ロブレド候補の選挙活動に「自分たちも世界を変えられる」と希望を見出し、情熱を注いで心を込めて参加した。

 残念ながら、ロブレド支持の若者が痛感したのは、「善」が常に勝つとは限らないということだ。そして本当の悲劇は、道徳的指導者としての役割を果たせない大統領が選出されたことだ。偽善がまかり通り、不正直が勝利につながる瞬間を目撃しながら、誠実さを身に付ける意味を見出せるのか。公人や国の指導者が公的な場で汚い言葉を吐く中、円滑なコミュニケーションを促進できるのだろうか。

 現代のどの選挙よりもその絶望感と怒り、悲しみは圧倒的だった。この悲痛な叫びは決して馬鹿にできるものではなく、若者がいかに国家の将来を案じていたかの表れなのだ。

 選挙結果を受け、敗北した若者に伝えるべきことを考えた。絶望に打ちひしがれた時に必要なのは、希望を手放すことではなく、自分の意思や軸を見つめ直すことだ。勝利までの過程で自分の感覚を失った人もいる中、敗北しても自分を貫いた人は、誠実さを保ったまま絶望から抜け出すことができる。

 そして、支持する指導者であっても盲目的に従うべきではないこと、指導者のためではなく国家のためになることを積極的に行い、自分たちにふさわしい国にするため私たちも戦い続けることを伝えたいと思う。(12日・インクワイアラー、アンナ・トゥアソン、臨床心理士)

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