「バズる」ため歪曲される歴史 デジタル時代の歴史教育
ソーシャルメディアのアクセスのしやすさを利用し、歴史をセンセーショナルに曲げた利益団体の投稿が散見される。コンテンツ制作者は「バズらせる」ために人々の感情や好奇心を刺激することで、特定の考えを刷り込もうとするのだ。
さらに言論の自由の名の下、非常に疑わしい史実が堂々と語られている。これは、歴史は相対的であり決して絶対的ではないという近代以降の考え方を強化する。フェイスブックやユーチューブ、そして現在台頭しつつあるティックトックなどのプラットフォームは、歴史についての偽情報の拡散、イデオロギーの提唱、さらには利益のために意図的に利用されている。ネット上のフェイクニュース、虚偽の陰謀説、赤タグなど、民主主義への過程や価値観を根底から覆すものの背後には、官民問わず組織や集団の存在が報告されている。
問題は、若者が新しいデジタル技術を使いこなせるかどうかではなく、提示された情報をどう扱うかだ。教育者の最も重要な責任の一つは、生徒が様々な情報源から来る情報の信頼・信用性を判断できるようにすることだろう。そして教育者もネットの動向を知るためにも使い方を知り、デジタル技術などの急速な変化を受け入れる姿勢が必要だ。
「ポスト真実」という、客観的な事実より感情的な訴えが政治的に影響を与える時代において、ネット上の歴史歪曲への対抗策の一つは、その手段となるプラットフォームの中で、偽情報を迅速に修正するコンテンツを作成することだ。(21日・インクワイアラー、ライセウム・オブ・ザ・フィリピン大学社会科学講師 ジョン・ハバコン)